第4話 警察の裏切り

「大丈夫ですかっっ!!!」

5分くらい経った頃だった。警察がパトカーを走らせて私たちのところに来てくれた。宮野花乃は、もういない。話によると、凶器を没収したのらしい。凶器がなければ、宮野花乃も私たちには敵わないだろう。最悪でも、ただの殴り合いだ。宮野花乃が大人に勝てるわけがない。お父さんは、警察と話すために車の窓を開けた。

「大丈夫そうですね!良かったです…。フッ」

来たのは、1人の女性の警察の人だった。優しそうな雰囲気なのに、なぜか言葉の最後に笑っていた気がする。しかも、なんかこの人、見覚えがある………。

「もういませんよ…!「宮野花乃」は!あの子なら、家に返しましたからね…」

次の瞬間。銃声と共に、お父さんの頭が吹き飛んだ。

「…っ!お父さん?!」

私は、お父さんの体を見た。

「ウソ…でしょ。」

もう、首から上はなかった。……。もう死んでいる。

「あれぇ?油断しましたぁ?あ、「雪乃」ちゃんは元気ですか?もう死んでますよねぇ?アハハッ、可哀想に!あの子ったら、何で人の妹を殺すのかしらねぇ。」

女性の警察が、化けの皮を剥がすように言った。この人…。やっぱり見たことがある。

「あれれぇ?覚えてない?その顔、私は誰か分かっていない顔ね。私は………。あなたの妹、「雪乃」を殺した宮野花乃の、母よ!ハハっ!笑えるわぁ。まだ彷徨ってたの?あ、引っ越し?まぁ、そうよねぇ。大切な家族が殺されたくないんだものねぇ…!」

宮野花乃の…、母だ。昔、この人と宮野花乃にすごいいじめられた。この恨みは絶対に晴らしてやる。

「そ、それがどうしました?あなた、昔「秦」と言う息子を亡くしましたよね?可哀想に。」

「いやぁぁぁぁぁ!やめて!秦のことは言わないで!お願いだから!もう何もしないから!ねっ?!私たち友達でしょう?!」

宮野花乃の母が焦り気味で言った。秦は、宮野花乃の弟。宮野花乃が4歳の時に殺された。バラバラ死体に、ぐちゃぐちゃになっていた秦の姿が浮かんだのだろうか。

「友達?誰が友達ですか。あなたは、今私の夫も殺しましたよね?しかも、宮野花乃は娘の雪乃を殺しましたよね?誰が友達と思うんですか?憎い人しか思わないでしょう。」

「ううっっ……、うわぁぁぁぁん!」

そう泣き叫ぶ宮野花乃の母を見ながら、辺りがシーンと静かになっていった。人も、少なくなってきている。私は、色々な思いでぐちゃぐちゃになりながら、お母さんとその様子を見ていた。

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復讐の記憶 星尾月夜 @yyamaguchi

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