復讐の記憶

星尾月夜

第1話 いじめから

私は、小学生の頃から、同じ子にいじめられていた。最初は軽い嫌がらせみたいなものだった。そして、見逃せるようなものばかりしていた。中学生になっても、それは変わらない。いつもいじめられた後、少し「ははは……」と笑っていたけど、心の奥は大泣きしていた。そんないじめがエスカレートしていく中で、ある日その事件は起きた。私の妹が、私の可愛くて大切な妹が、私をいじめていた人が殺したのだ。私はその時間、塾で家にはいなかったけれど、帰った後、家の前にパトカーが停まっていた。お母さんとお父さんは警察の人と、話をしていた。2人とも、泣いている。私はイヤな予感がした。そして、警察がパトカーに乗って去った後に、お母さんに、

「何があったの?そういえば、雪乃は?」

と聞いた。雪乃とは、私の5歳離れた妹だ。私がそう聞くと、お母さんはわっと泣き出した。

「雪乃が…雪乃は………殺されたのよ…聞けば、包丁で刺されたあと、頭を思いっきり殴られたらしいの………そして、即死だったらしいわ……学校帰りに、殺されたのか、ランドセルを背負っていたもの…本当に許せないわ…」

「………え?ウソ…でしょ?誰に殺されたの?!…何で?雪乃が何かしたの?!……私たちの雪乃を返してよ…!許さない!許せないっ……!」

私は、絶望のあまり泣きながら叫んだ。最初は、イタズラだと思っていたけれど、お母さんの様子を見て、事実だということが分かった。……。ふいに頭に浮かんだのは、私のことを小学生からいじめていた、宮野花乃。…この女が、私の妹を殺したのだとしたら…。頭が真っ白になる私を見て、お母さんは最後に、こう言った。

「…雪乃が殺されたことが悲しい気持ちは分かるわ…。でも、明日も学校あるでしょう?このことは、また今後話し合いましょう。今は、気持ちを抑えることが大事よ。……犯人を、許せないわね…。」

お母さんは、最後にポツリとつぶやいた。私は、

「うん…。ちょっと、横になってくる。」

「分かったわ…。今は気持ちが大切よ。犯人が分かったら、また伝えるわね。……雪乃が出てくる夢でも見れるといいわね…」

時計を見ると、もう、8時になっていた。それで、私は横になっても雪乃のことが頭から離れられなかった。妹を殺された悔しい気持ち。悲しい気持ち。いろんな複雑な気持ちが、頭と心に絡まって、今はものすごくモヤモヤしている。そうしている間に、私はまぶたが重くなり、眠りについた。

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