第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

@kokoroyomi

満開の  桜と月は  我が子かな 我が身吊るして 君に会いたい

5・7・5の部分


ある日の夜、森の奥に一人の男が居た

男は月明かりを頼りに道を進むが、夜の森は木に覆われている為、何度も何度も転び服はボロボロ。それでも男は進んだ。 それから10分程経った頃だろうか、周りが開けた空間があった。傍から見れば少し不気味な空間だ。しかし、男に恐怖は無い。少し休憩しようと思い近づいた。半径5~10メートル位だろうか、円の中心にある木を避けるかの様に

「きれいだ」

男が呟くのも無理はない。そこには今まで見たことが無い程、綺麗に咲き誇る桜がある。暗い中を照らすように月が輝いている。男はようやく理解した今日が満月であることを。

その風景を見た男は 月と桜の織りなす美しさを我が子に例えた

一年を一生とすると

桜の場合

4月…我が子の誕生

5月…学生に成り、新しい学びを得る

6月…働き社会に出る

7月…出会い

8月…新たな子孫を残す

9月…一生懸命働く

10月…働くことを止める

11月…ゆっくり過ごす

12月…死期が近づく

1月…多くの者が亡くなる

2月…全ての者が亡くなる

3月…新たな者へと準備をする

4月…生まれる


一ヶ月を一生とすると

月の場合

1日…新月…生まれた日

3日…三日月…学ぶ

7日…上弦の月…社会にでる

15日…満月…美しく輝く

22日…下弦の月…だんだん消え行く

30日…新月…新たに生まれる


7・7の部分

男には 妻と子がいた

事故で亡くなった

男がこの森に来た目的は

自らの命を絶つため

木の枝に紐をくくりつけた

紐で出来た輪っかの先にある景色は

男を待つ妻と子の姿

恐怖は無い


ぶらんぶらん揺れている

風に乗って

だらんだらん伸びている

下に向かって

紐が切れた

男は土に埋まる

他の木は近づけない

中心にあるのは「桜」だけではない

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