第14話 ガスライティング
ガスライティングという言葉を知ってますか?
心理的虐待の一種であり、辞書的には、被害者に些細な嫌がらせ行為をしたり、故意に誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気、もしくは自身の認識を疑うよう仕向ける手法。
例としては、嫌がらせの事実を加害者側が否定してみせるという単純なものから、被害者を当惑させるために奇妙なハプニングを起こして見せるといったものまである。
リーと出会った時から浮気そして犯罪行為を目撃し、中絶という心理的不安定な状況が続き、今回DVまであって、自然とガスライティングをされたんだろう。
この単語は、離婚をしたいと決心した時、精神病院行って相談していた時に言われた言葉だった。
医師が判断するにも、この時私が正常な判断できず、そのまま付き合っていた理由を実例として並べてくれた。
ある事件の一例で、ストーカー被害にあっていた女性が、ある日拉致された。加害者の家で手足を結ばれた状態で、初めは怖くて何もできなかったらしい。時間が経つにつれて、加害者がいつもご飯やシャワーをさせてくれる生活が続き、この人に頼る事しかできなかった被害者はだんだんと情が強くなっていった。最終的に警察に発覚されて、救助される際、女性は泣きながら、彼は悪い人じゃないと叫んでいた。私は拉致されたんじゃなくて、着いてきたんだと。被害者と加害者は結ばれたが、ハッピーエンドではなかった。彼女が配達員の男性と話す事すら許せなかった彼は、結局彼女を拘束し、人の目に出れないようにしていたとの事。
後々また確認の為、警察が訪れて、彼女を一度家族の元へと帰すことに成功した。しかし、発狂した彼は、結局彼女に危害を犯すようになり連行されたという。
もっと酷い仕打ちを受ける前に、離れる事が一番。
そして、病院や警察に相談するのが一番。当たり前だと思うだろうが、いざ行動に起こせなかった私みたいな人もいるだろう。
結局DVまで受けた私は、リーを恐れたのではなく、私が外に出て通報される事によって、警察沙汰になり、彼の人生を棒に振ってしまうのが怖かったのだ。そう、冷めてるように見えて、実は彼の事を誰よりも心配し、守らなきゃと反射的に考えていた。情というものはそれほど恐ろしい。
そして私はある程度腫れがいえるまで、初めてバイトと学校を休んだ。
3週間が経っても目の充血や腫れが治っていなくて、眼帯をした。
久しぶりにバイト先に行ったら、真っ先に心配される顔の状態。
「何があった?誰かに殴られたの?」
第一声でバレてたのに驚き、言い訳のようにベラベラと話した。
「階段から転んで、めちゃくちゃ固いところに顔から打っちゃったんです。結構重症だったんで、3週間も休んじゃいました。」
仕事場の人は信じていない様子だったが、問い詰めず、いつでも話聞くからと言って気遣ってくれた。
どこに行っても、暴行被害があったか聞かれた。聞かれる度に悪いことをバレた人かのように、反射的に「ただの怪我。」と答えるのに必死だった。
そんな中まだ残っている問題のギャンブル事件。
最悪な状況が立て続けにあって、「つらい」と素直に感じることすらできなかった。
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