第2話


うちの学校は旧校舎がある。


ボロッボロで、歩くと床が軋み少し沈む。なんだったら床に穴が開く


所々補強された痕跡があるが、それも一体いつのかわからない。


彼はそこの、1番窓からの景色が良い教室に行き、同じ席に座る。


流石の私でも口にしていない彼の心を読むことは難しい、表情や昔の言動から


ある程度予測する事はできるが、それも予測に過ぎない。


でもこれだけは確実に言えることがある。



「…」



只そこに座って窓を見ているだけなのだが…



『(ん”がっ”こ”い”い”)』



死ぬ程絵になる、なんだあの顔面偏差値114514は


足が2m並に長くて、身長高杉で、顔もいい


嫌いになる理由がわからない、やはり馬鹿の考える事は理解できそうもない。


考えてみたが、頭が禿げそうになったのでやめた。



『(…それにしても、それにしてもだ)』



彼はいつも、オンボロ教室の同じ場所に座る


最初に此処に来た時も席を態々数えて、特定の席に座っていた。


何か意味でもあるのだろうか?まさかその席に座っている奴が好き…なのか??


彼は恐ろしいくらいに女が嫌いだ、無論私もだ。これが運め…いや関係ないな


だから同性愛に走る可能性もありうる、だから特定する事はほぼ不可能に近い


…が、一つ心当たりがある。というかこれしか考えにくい



「あ、いたいた」


「探したよ〜瑞希くん」


m「…げ」


「げって何ぃ?そう言いたいのこっちなんですけど〜」



我らが学級員兼風紀委員


立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花


才色兼備、月下美人がよく似合う、欠けのない学校1の美女。


話せば印象が変わりどんな人でも彼女の虜になる、彼もきっとその1人。


だって




あんなに警戒心のない彼の顔を、未だかつて私は見たことがないから



___________



ー?視点


彼奴はなんとなく遠くから見てくる


でも絶対に話しかけてこない


俺自身も話しかけないからまともに話した記憶はない。


でも、ある時一変した


彼奴は近づいてきた、挨拶もしてきた、なんだったら自分の席に勝手に座ってきた


幾ら座っている彼奴に話しかけても、彼奴は無視する、だからそのまま移動する。


すると彼奴は猫みたいに追いかけて、また遠くから見つめてくるのだ。


毎日そんなだから、彼奴が休んだ時は少し寂しく思う。


愛着が湧いたのかは俺自身、よくわかっていないが、少なからず俺の生活の一部に

なっている事は確かだ。



「あ、いたいた、探したよ瑞希くん」


『…げ』



当然そんな言葉を彼奴にかけられるわけもなく、ましてや他人に見せることもない



「げって何ぃ?そう言いたいのはこっちなんですけど〜」



黒髪ロングヘア、特に着崩すことのない綺麗な制服


優等生がよく似合う格好でやってくる此奴は、1年の白上玲子


俺を追いかけてくるもう1人の変な女。


周りのクラスメイトは此奴に夢中らしい、が、どこがいいのかさっぱりわからん。


ただの優等生、それだけでしかないのに何故そんなに鼻の下を伸ばすのだろう


その辺にいる女共と比べたら遥かにマシではあるが恋愛対象かと言われれば変わる。


『(…此奴より、お前に会いたいな)』


脳裏にそんな考えが浮かんでくるが、気のせいだと思いたい。


…まあ、会えなくはないけど、一言も話さずに終わってしまうんだろうな。

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早くデレなよ瑞希君! 白澤 @hakutaku9

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