歌集「ねこだらけ」

尾岡れき@猫部

あくびして せのびしながら まばたいて 日向の端で 目で追う 君を


あくびして せのびしながら まばたいて 日向ひなたの端で 目で追う 君を


くださいな 甘えた声で 訴える 分からぬあなた 本当ほんとにバカね


そこなのよ もっと分かって そこだから 少しもイヤよ ズレ許せずに


匂いつけ 私だけよと 刻みつけ 他の香では 隠せぬ想ひ


揺れ動く あなたの想い 偽れず それでもキライ 良薬吐いて 


怒髪天 寝具ににおい 許さない それでも甘い 君にほだされ


ごはんより あなたが帰る この時を 待っていたのを 知らないでしょ?


夏はイヤ 重苦しくて 暑苦し 傍にいたいが 足下ココでガマン 


黄昏に 向かって鳴いて 声はなし 誰彼どなた あなたはどこに


ガラス越し 鼻先つんと 隔たれて 誘われたけど みどりが怖い 


おめでとう 誕生日なんのことなの わからずも 貴方の膝を 独占してる


まばたいて またたびのこう ほろ酔いで 素面しらふな君が 一緒に騒ぐ


チビ介の お守りは飽きた うんざりで 無邪気に追う 君は天敵  


いつのまに 大きくなった 君の丈 見上げて瞑り どうして泣くの?


かわいいと 一目惚れした 軒先で 小さな悪魔 にゃんと笑むの


川の字で 眠る君に 横入り 滝を登って あなたの隣 


尾の太さ 腹にすえかね そっぽ向く それでも探す あなたの匂い


好奇心 家を飛び出し 迷ったの 月のウサギは もう羨まず


また会えた 擦り傷だらけ 痛いけど 君の匂いが 包みこむなら


その毛並み よく似ていると 目を細め 猫又は笑む また会えたよね   

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