第2話 影の正体

香織と涼介は、山田隆二の死の真相を探るために動き始めた。山田の自宅でUSBメモリを発見し、不正融資の詳細なデータを手に入れた二人は、香織の自宅でさらに詳しく解析を進めていた。夜の静寂の中、柔らかなランプの光が資料の上に陰影を落とし、二人の緊張感が増していく。


USBメモリには高額な取引や隠蔽工作の記録がびっしりと詰まっており、山田が命を懸けて集めた証拠の重要性が明らかになってきた。


「これは予想以上に大きな不正だわ。山田さんがこれを公表しようとしていたなら、彼が狙われた理由も納得できる。」香織の声は静かだが、その言葉には深い決意が込められていた。


「でも、こんなに詳細なデータをどうやって集めたんだろう。山田さん一人でこれだけの情報を手に入れるのは難しいはずだ。」涼介は眉をひそめながら、画面に映るデータを見つめた。


香織と涼介は、山田がどのようにしてこれらの情報を手に入れたのか、さらに詳しく調査する必要があると感じた。


翌日、二人は山田が頻繁に訪れていたカフェ「エトワール」を訪れた。ここで山田が誰かと会っていたという情報を得るためだ。カフェの中では、軽快なジャズが静かに流れ、店内に柔らかなリズムを与えていた。窓から差し込む朝の光が、木製のテーブルに美しい陰影を作り出している。


カフェの店員は、店の人気者である若手の女性、佐々木優香だった。彼女は香織と顔馴染みで、いつも明るく親しみやすい性格で多くの常連客から慕われている。


「優香ちゃん、こんにちは。」香織は微笑みかけた。


「あ、香織さん、いらっしゃい!どうしたの?」優香は明るい笑顔で応じた。


「ちょっとお話があって。山田さんって覚えてる?よくここに来てた方なんだけど。」香織の声は少し緊張していた。


「うん、覚えてるよ。山田さん、最近誰かと真剣に話してるのをよく見かけたわ。」優香は少し考えるように目を細めた。


「その相手の特徴とか、覚えてる?」涼介が尋ねた。


「背が高くてスーツを着た男性だったわ。落ち着いた感じで、山田さんと何か大事な話をしてるみたいだった。」優香は記憶をたどりながら答えた。


香織と涼介は優香の話を元に、新たな手がかりを得た。山田が接触していた男性の正体を突き止めるため、彼らはさらに調査を進める決意をした。


香織の心の声「山田さん、あなたが見つけた真実にたどり着くまで、私たちは決して諦めない。」


二人はカフェを出て、信用金庫に戻ることにした。日差しが柔らかく照らす街並みを歩きながら、香織の心には山田の優しい笑顔と共に、彼の抱えていた恐怖が思い浮かんだ。


「涼介、私たちは山田さんが集めた証拠を元に、さらなる調査を進めるべきだと思うわ。まずは彼がどのように不正融資の証拠を集めていたのかを突き止めましょう。」


「了解。彼が接触していた人物や、彼の行動パターンを洗い出そう。」涼介も決意を新たにした。


その後、二人は山田が使っていたパソコンを調べるため、信用金庫のIT部門に協力を依頼した。IT部門の担当者は、高橋健一だった。高橋は30代半ばのエキスパートで、冷静沈着かつ迅速に仕事をこなすプロフェッショナルだ。


「山田さんのパソコンの履歴を見ると、特定のサイトに頻繁にアクセスしていたようです。また、このメールアドレスは彼が情報をやり取りしていた相手のものかもしれません。」健一は画面を見つめながら説明した。


「このメールアドレスを調べれば、山田さんが接触していた人物の正体がわかるかもしれない。」香織は頷いた。


香織と涼介は、山田が不正融資の情報をどのように収集していたのか、その方法を突き止めるために更なる調査を進める。山田が接触していた男性の正体、そしてその男性が山田の死にどのように関与しているのかを解明するため、二人の調査はますます深まっていく。


**作者から**

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