有料級の作品です

読み始めてすぐにそれとわかる老練な筆使い。横書きで読むことに違和感すら覚えました。

文章もさる事ながら物語の見せ方も非常にうまい印象です。読者の興味を引くのにこんな方法があったのかと、書き手目線でもうならされる場面がたくさんありました。

冒頭からひと段落するまで、決して登場が多いわけではない主人公ですが、最低限の洗練されたセリフ回しで十分に魅力的に描かれており、主軸となって物語が進む頃にはすっかりこの主人公の物語を読みたくなっていました。

また、ここまで主人公を謎に包んだ状態で丸々ワンシーン読ませる技量にも感服いたしました。