第17話

お城の中庭はとても綺麗な花が生けられ、何だかポカポカした空間が広がていた、確かに此処はお茶会をするにはうってつけの場所だ


「いい場所だな、風が気持ちい」


カル「だろ!」


俺達は使用人達が茶会の準備をするのを座って見守る

やがて紅茶と切り分けたケーキが目の前へ置かれ

人参のざらめが気になるがそれでもとてもおいしそうに見えるケーキを満足そうに見つめる


「それじゃ頂くとしましょうか!」隣に座る彼からあぁと返事を貰いフォークで欠片を救い口へと運ぶ「はは!俺天才!めっちゃくちゃ旨く出来てるじゃん!」

もう一口目もパクリと食べた頃、遅れて隣の人物が反応する


カル「おぉ初めての味だ中々に旨いな!」こっちの反応も良いみたいで俺としては大満足だ


しっかりと刻んでいない人参は新しい食感を生み出してくれて楽しいし、チョコのソースともマッチしていてとても美味しく出来上がってた


カル「キャロッツのケーキはほろ苦いと思っていたが甘すぎず香りもいい、ソースともすごく合っていていいな!」


だろうっとニッコリ笑うと視界の隅で使用人たちの視線が刺さる、流石はお城に仕える使用人達態度は変わらないが視線が痛い


「なぁカルロス此処って使用人に話しかけてもいいのか?おすそ分けとか?」耳元でこっそりと話す


カル「別に構わないが」すると彼は使用人の方を向く「すまないが量が少ないのでね、何ピースかをみんなで分けてくれ」

言い終わると俺の方に向きニッコリと笑う


「優しいんだな」


カル「それは、俺のセリフだ...随分気を使うんだな、使用人に」


「そんなんじゃねぇけど…」チラっと使用人達を見てまたカルロスに視線を戻す「お前たちは慣れっこかもしれないが俺はこういうのちょっと…」


そう、と呟いたカルロスはケーキをもう一口食べたていた













エミ「やっと見つけましたわ!!!!!先の選別メンバー納得いたしかねます!!!!!」勢い良く来たのはエミリア嬢、鬼の形相である「何故こんな何を考えているのかもわからない優柔不断なやからが私みたいな優秀な人材を差し置いて選ばれるのですか!?」

茶会のテーブルをドンと叩きつけて言う彼女の剣幕と言ったら


エミ「まさか貴方!男色がお趣味で?!」物凄い妄想力だ、目の前の彼女はまるで虫を見るような目で見つめるのを横目にカルロスを見ると


カル「まさかお前….‼」目がキラキラである


やめろそういうの 


悪乗りしたくなるだろう


「あぁ…

実は俺は…

初めて見た時から…」間をいっぱい溜めその間二人は俺をジッと見つめて固唾を飲み込む

「こいつは俺のパーティーに入れて異世界ハーレムを抜け出そうとひそかに計画を立てていた!」俺の発言に二人はポカンとする


カル「異世界?」


エミ「ハーレ??」


「おう!俺の計画を順調に進めるには色恋沙汰は在ってはならない!面倒事が起きるからな、パーティーに2人男が居ればその分興味は分担される

そ・れ・に!

身分の高い色男ときたら、例え国の中で肩身の狭い状態の男だとしても婚約はたは結婚なんてしてしまえば多少は王国の甘い蜜を吸える、だからよく分からない異世界人の当たるか当たらないかのばくちの俺なんかより、将来を約束されたイケメンの王子様の方がいいに決まっているから女子の興味はそちらへ行くそして俺は自由に異世界観光!」我ながらなかなかさえた考えなんじゃないだろうか


カル「おぉ 確かに」


エミ「不純ですわ!だいたい貴方に惚れるだなんて自意識過剰でわなくって?」


「否!それは断言できるお前らは惚れる!」ビシッとエミリア嬢に指をさす


エミ「なっ‼?貴方のどこにそんな要素が」


俺達の会話を横にカルロスはメイドさんにもう一枚ケーキを切り分けてもらい食べる


「俺!異世界人だぞ!異なる世界の知識が無限につまった奴を目の前に気にならない奴などいない!それに俺は優しい!」


ふごっと隣の奴が紅茶を吹き出しそうになる、とても失礼だ


エミ「自分で言いますか?そんな事」


「例えフツメンでもな知的で優しい奴には惚れるっていうのが異世界物の常識なんだよ!」


エミ「なんですのその常識は!あまりにも都合が良すぎ んぐっ!!!!」あり得ないと目を見開き俺を凝視する目の前の彼女にケーキを突っ込む


「これでもそう言えるのか?俺はなぁこんなに旨い甘味や料理が沢山作れる」ニヤニヤしながらフォークをゆらゆら揺らす「それ以外にもここにはない便利アイテムやら此処の常識では考えられない発想なんかも沢山ある!そんな奴に本当に興味が沸かないとどうして言える?」エミリア嬢を下から追い詰めるように見つめる


彼女はわなわなと小刻みに震え口の中のケーキをゆっくり飲み込むとパッと赤いかを上げ物凄い勢いで立ち去る


カル「あっさらわれた」視線をたどるとそこにあるはずの彼皿がなかった不満そうではあったがおとなしくカップに入っている紅茶の残りを飲む「良かったのかあれで?国外追放になってりして」他人の不幸をクスクスと笑う


「良いんだよ、嫌われた方がむしろ都合がいい」俺もさらに残るケーキを口にする「国外追放になったらお前は付いてきてくれるか?」


カル「お前の隣は飽きが無いからな、当然いくさ」

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2024年12月25日 09:00 毎週 水曜日 09:00

Andarilho 異人さん @yuu_981

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