今日はこの位にしといたるわ

クライングフリーマン

今日はこの位にしといたるわ

 今日はこの位にしといたるわ。

 有名な、池乃めだか師匠のギャグである。

 関西人は、というより大阪人は、「ノリ」で、よく吉本新喜劇や吉本芸人のギャグを真似る。

 今は、そんなことはないが、テレビ創生期の頃(半世紀以上前、60年位前)は、お笑い番組が多かった。

 吉本興業の番組も松竹芸能の番組も2つ以上あり、東京の寄席中継も3つ位あった。

「笑いの英才教育」で洗脳されて育ってきた。

 ドラマの登場人物の真似をしてアイドルになるのは、そのずっと後だった。

 今は、テレビ場慣れと言われている。視聴者参加番組は「新婚さん、いらっしゃい」位」かな?

 とにかく、テレビマンは不勉強。パンピー(視聴者)から学び、芸人さんから学び、俳優さんから学び、謙虚だった。

 いつの間にか「視聴率」とかいう、訳の分からない物差しで番組作りをして、パンピーを下級層扱いするような真似をするようになったのか?

「我々は、一般の方々とは違うんです。」ある放送局の子会社の人間が言った言葉である。

「はずみ」とか「つい」なんて言い訳にはならない。スポンサーのご機嫌取れれば、金儲けになる、という思想の表れだ。

 スポンサーはお客様だが、そのスポンサーのお客様はパンピーだ。自分達の給料の元はパンピーなのだ。

 今年初め、漫画家の原作者が自殺する事件があった。あまりにも原作者を蔑ろにするから起った事件だ。

 局では、調査委員会を作ると言いながら、未だに何もしないそうである。

 テレビは、「おわこん」と言われる。「終っているコンテンツ」の意味である。

 SNSが発達した今日、視聴者の声を拾うチャンスは、手段は幾らでもある。

 だが、半世紀前の「真似」しか出来ない、スタッフは、「受験勉強の結果」を持ってテレビ局に就職している、という。

 詰まり、丸暗記は得意でも、応用力がない。自分で考えないのだ。

 鶏の前にガラスを置くと、横が幾らでも開いているのに、迂回出来ないそうだ。

 ガラスの前で動けないでいる鶏に言われたくはない。「今日はこの位にしといたるわ。」

「明日」は無いのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今日はこの位にしといたるわ クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る