私が、見たままの四季。【俳句】二十句部門

知良うらら

シェラカップ ふうふうふうと、秋の麺

蝋梅ろうばいや 梅の香りの 紙石鹸


コブシの芽 空に穿うがてる 白い爪


丸い葉と 錆びたフェンスと ふきとう


春来はるきたる 去年こぞの桜は 切株に


千鳥ヶ淵ちどりがふち 春は桜と たまねぎと


躑躅垣つつじがき 花の小箱か 香箱こうばこ


クヌギの穂 柳絮りゅうじょのごとく 舞い落ちる


くすのきの 春の紅葉こうよう 手燭てしょくかな


楠若葉くすわかば 巨木や母の 膝枕ひざまくら



森の中 蝉やら鳥の 夏のフェス


彗星か 流れ逆らう 岩川藻いわかわも


盆の花 竜胆りんどうひとり 凛として


空中に毛筆筆記 黒蜻蛉くろとんぼ



銀杏ぎんなんや パイ生地のよに 靴が鳴る


人里を離れて朽ちる 去年こぞきつ


シェラカップ ふうふうふうと、秋の麺


木の根元 そこをつつくか わか小啄木鳥こげら



バリウムや 寒鰤かんぶりのごと 板の上


冬の枝 穂先に夕陽吸って居る


夕暮れに 金黒羽白きんくろはじろが沈みゆく


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私が、見たままの四季。【俳句】二十句部門 知良うらら @Chira_Urara

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