此岸のひと「俳句二十句部門」

ハシビロコウ

此岸のひと

慟哭の季節過ぎたり朧月


換気扇まわし出汁巻きの卵とく


五十路にて今年も見やる花篝


ひと瓶のピクルス余る日曜日


恋の香のナイアシンアミド塗りこみぬ


押しいれの浴衣必要枠となり


路地裏や猫のトロットゆう涼み


あんず飴シェアを試む指触れて


居酒屋のビールジョッキに溶く下心


コンクリをぽてりぽてりとかなぶんぶん


出目金の墓に咲く花を閲す


御中元母といふひとより届く


瓜の馬番地違えと帰さうか


茄子の牛見おくるほどの縁でなし


夜散歩ひいやりこのまま溶けたし


堂の中当代読むはジェイポップ


墓地なかば報われし無縁仏


墓守の愚痴聞きあくる雲流れ


紅葉狩り下の名前で呼ばれをり


寄せ鍋やいとまもらひしアノレクシア


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此岸のひと「俳句二十句部門」 ハシビロコウ @hasihasibirokou

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