第15話 婚約
ミーナという少女を自宅に招くことになった。
父親の言った通りミーナは呼ぶとすぐに自宅に来てくれた。リスト表を見せてもらったのが朝のことで、そのまますぐに呼ぶと昼頃にはきてくれた。
黒い髪の毛に黒い瞳の女の子である。
「初めまして。ミーナと申します。よろしくお願いします」
ぺこり。
マルスに向かって頭を下げるミーナ。
「俺はマルス。よろしくね」
ふたりが自己紹介を終えるとマルガスは言った。
「後のことは若い2人に任せるよ」
マルガスはミーナの父親と共に館に向かっていく。
残されたマルスとミーナは顔を見合せて。
「これからどうする?」
「私はマルス様といっしょなら何でも楽しいですよ」
ニッコリと笑ってミーナはそう言った。
(ふむ。どうやら初めから好感度はマックスなようだな)
マルスがそう思っていたらミーナの方が口を開いた。
「そうです。マルス様、おなか空いてませんか?」
「おなか?減ってるけど」
マルスは朝食を食べてから何も食べていない。
昼はミーナと一緒になにかを食べようと思っていたのでもちろんまだである。
「なにかお作りしてもよろしいでしょうか?」
「いいけど、もしかして料理は得意?」
「はい、得意です」
「おぉ、じゃあなにか作ってもらおうかな」
「何がお好きですか?マルス様のお好きなものを作りたいのですが」
「うーん、ハンバーグかなぁ」
ちなみにだがマルスの味覚は子供のものになっている。
好きな食べ物も、おいしいと思うものも一般的な子供と同じである。
「ミノタウロスのハンバーグが特に好きかも」
「なかなか美味しいですよね。あれ。食材があればお作りできるのですが、どうなんでしょう?」
「料理長に聞いてみようか」
マルス達は食堂に向かうことにした。
食堂と厨房は隣合っているので食堂からすぐに料理長に声をかけることができる。
「料理長、ミノタウロス肉って余ってる?」
「マルス様。それが、ミノタウロス肉は今切らしておりまして」
「そうなんだ」
「申し訳ございません」
「ないなら仕方ないよ」
食堂の椅子に座るマルス。
少しだけ考えていた。
ハンバーグは作れないそうだが、それでもやはりハンバーグが食べたい。
ミーナに質問されて答えてからすっかりハンバーグを食べる口になってしまっていた。
解決できる方法があるとすれば肉を自分で用意することである。
「うーん。近くに森があるんだけどそこに着いてこれたりはする?ミノタウロスが生息してるはずなんだけど」
「分かりました。いいですよ。マルス様とならどこにでも行きます」
「ありがとう。ミーナのことは俺が守るから、安心してよ」
「こちらこそマルス様に守っていただけるなんて光栄でございます」
・
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こうして彼らがやってきたのは【黒い森】であった。
「うぅ、なんだかこの森に拒絶されてるような気がしますぅ」
「気のせいでしょ」
マルスは自分とミーナの周りに剣の壁を作り出した。
「【ソードヴェール】」
マルス達の周りをたくさんの剣がグルグルと高速回転。
「わぁっ!すごいです!こんなの見た事ありません!」
目をキラキラさせて剣の壁を見ているミーナ。
マルスはその反応を見て悪くないなと思っていた。
(これはひょっとしたら婚約出来るかもなー)
マルスはミーナにもっといいとことを見せて見ようと思った。
「見ててミーナ」
「?」
不思議そうな顔をしているミーナの前でマルスは自分の前に剣の竜巻を作り出した。
「ソードハリケーン」
地面から天に向かって一本の竜巻が出来ていた。
「おぉっ?!すごいです!」
更に竜巻を増やしていく。
一本。二本。三本と。
そして
「いけっ!」
竜巻を前に動かす。
竜巻は草木を巻きみながら前進していく。
もちろん、竜巻が通った後には何も残らない。
「ブモォォォォォォォォォッ?! 」
竜巻の進行方向からはそんな声が聞こえた。
「今の鳴き声は?」
ミーナは今の鳴き声に覚えがあるようで反応していた。
もちろん、マルスも覚えがある。
「ミノタウロスがやれた様だね。見に行こう」
マルスたちがしばらく歩くと青い体をして2本の角を持っているモンスターが地面に倒れていた。
身体中をズタズタに引き裂かれて倒れている。
剣の竜巻で倒せたのは誰の目にも明らかである。
「マルス様すごいです。こんなに大きなミノタウロスをあんなに遠距離から倒してしまうなんて」
「大したことじゃないよ」
マルスは次はミノタウロスの肉をいくつか拝借することにした。
何人か分のハンバーグを作る分だけの肉を集める。
「よし、こんなもんでいいか」
ここに来た目標も達成できたのでマルスたちは家へと帰るのだった。
・
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既にマルス達以外は食事を済ませていたようで厨房もガラガラであった。
そのためミーナは厨房に入るとハンバーグを作り始めた。
実はマルスも一緒に手伝おうと考えていたのだが。
「マルス様のために頑張ってお作りしますので休んでおいてください」
とミーナに言われたので彼は引っ込んで置くことにしたのだ。
(それにしてもなかなか出来る子だよなぁ、率先して料理をしてくれるなんて)
マルスはこう思っていた。
(この子は将来いいお嫁さんになるってやつなんだろうなぁ)
と思っていたのだが、この子を嫁にできるのが自分だということがこの後におよんでまだ理解出来ていないマルスであった。
マルスがしばらく待っていると、料理が出てきた。
(うわ、うまそー)
マルスはさっそくナイフとフォークを手に持ってハンバーグを切り分けて食べていく。
そして、ひとくち。
「どうですか?」
「めっちゃうまい!」
「喜んでもらえたようで良かったです」
ミーナは本当にこう思っているような太陽のような笑顔を浮かべていた。
そしてこの日マルスはミーナのことを気に入り、とりあえずの婚約をすることになった。
そしてこの日の夜。
マルスは父親の書斎へと訪れていた。
これからのことをふたりで相談し合うためである。
「マルス。とりあえず一つ目の婚約を取り付けたことはご苦労である。しかし、この先が本命ということを忘れてはおらんな?」
「分かっていますよ。父上」
「サファイア嬢を招いてもよいか?」
マルスは慎重な面持ちで頷いた。
魔法の才能がなくてバカにされた俺、実は剣を持たせれば最強なので兄弟たちを見返します~神様から授かった宇宙最強の剣も持っているので誰も俺には勝てません、今更泣いて謝ってももう遅い。ボコボコにしてやる にこん @nicon
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