第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】/空野ゆり

空野ゆり

短歌・二十首連作部門「愛の巣」

夜の間に猫の喧嘩と泣く赤子 静寂を破る生きているから


くれるもの貰うことにも怯えてた 返さなければいけない気がして


春うらら君は言うなり合流時「風が無ければあたたかい日ね」


ゆるゆるのシャツを羽織っていたけれど最近君は綺麗になったね


ミルクにも自我があるのかコーヒーに注ぎながらも考える午後


鼻唄で機嫌がわかるキッチンに君が立つ時計る幸せ


夜長さえ越えていければどの朝も等しく僕の瞼を照らす


瑠璃色の絵画を飾る君の庭 玄関先の窓辺に映る


深夜未明 ぬくいあなたの体温と荒い寝相で目覚めて微笑む


夜明け前鳥より先に起きる人 行ってらっしゃいシーツは干すから


潮騒の音を聞きつつ午後暮れて 腹は鳴くなり暗い1K


根本には寂しさがあるいつだって埋まらないから温めている


明け透けに聞かないで欲しいこともない こともないけどそれでいいのか


淡い影重ねて歩く夕立の後の匂いが煩わしいね


簡単よ温かい森に住む人は風の匂いで雨を知るから


朝焼けの前の暗さの中で吸う 太陽のような君の香りを


わからないことが減る程わからない心が増える理由はないのに


食後には寒さと減れり静岡茶 宇治玄米は特別な日に


飽きもせず同じ青空見上げては雲がない日を思い出してる


「気を付けて」その一言のあるなしで今日の貴方は生きてくれるの

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】/空野ゆり 空野ゆり @sshiou222

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画