姫彼岸花へ/松笠薊より

シンシア

姫彼岸花へ/松笠薊より

姫彼岸ひめひがん花便はなだよりなき姿みず


知らず声伝えず愚か去るよし


永遠とわならば普遍ふへんの心臓ただ刻む


急要し拾うは幼子ようし成る養子


手料理や向かう体躯たいくは宝箱


食でしか縮められない距離と五味


飲み込むシチュー猫舌とまがう灰汁


枯死こしにつぐ満腹の瓶底はなし


目を凝らせ我最短われさいたんのスペクトル


尋ねるは愚かさ貴方のまつかさ




あざみなき命短しよい長き


言わずともまぶたの重み結ぶ口


進む時違えど鼓動重ねたい


知らぬそら井然せいぜんひどく夢うつつ


手を合わせ感謝の後の唇は


記憶する好物の数胃を透過とうか


息する一つ湯気たたぬ皿の上


表面張力ひょうめんちょうりょく受け皿まで満ちる


菜のひかり線紫せんしに届け赤き波


母と呼びたしかおあいは悲願ひがん





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姫彼岸花へ/松笠薊より シンシア @syndy_ataru

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