第12話
状況の判断は出来るし想像を働かせればどうしてこのような事態になっているのかは理解出来る。
あるいは、元々恵美という出自の分からない彼女はある意味いくらでも「設定」を付けたす事が出来たから、とも言えるかもしれない。
どちらにせよ、あの日迎田茜ちゃんが連れて来た彼女。
恵美という少女がこうして目の前に現れ――『グリード』の戦士として立っている。
それ自体は特に不自然な事は、多分ない。
論理的には。
「……」
ただ、俺は彼女の事を少なからず知っている。
少ない日常だったが、彼女は極めて優しく……まあ、なんて言うか抜けているところがある少女である事は知っていた。
だからなんて言うか、このとき使うべき言葉ではないかもしれないけど、ギャップがある。
そういう意味で、違和感。
彼女は果たして、本当に「あの」恵美なのだろうか?
事実、俺はあの『プレデター』と対峙し倒して倒した訳だったが、しかしその正体をすべて把握していた訳ではなかった。
実際、『グリード』なんて知らなかったし、『アンノウン』に関してもまだ分からない事は多い。
だから――と、嫌な想像をしてしまう。
即ち、恵美ちゃんは『プレデター』に利用され、無理やり働かされている、とか。
そうであって欲しいとも思うし、多分そうなんじゃないかという嫌な確信もあった。
だから、まあ。
「逃げるか」
現状、どうかするのは得策ではない、確信はあったけど実際にそうだと決まった訳ではなく、そして強引に事を動かそうとするのは間違いなく駄目だ。
故に、逃げる。
確実にこれら盤上の状況を打破出来るほどの情報が集まってから、すべてを動かす。
その為に今は、徹底しよう。
そう判断した俺はその場で飛び上がり、一息にその場から離脱した。
幸いあの戦士……恵美ちゃんは俺の事を深追いする事はなく、あるいは出来ないのかもしれないが、それでも、何事もなく俺はその場から逃げ出す事に成功するのだった。
念願叶って潰れそうで潰れない喫茶店を開いたらなんか百合ラブコメの舞台にされたんだが? カラスバ @nodoguro
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