多分、もやもや。

豆ははこ

これが、もやもや。

 少し、昔。

 若い豆の賃貸の部屋に、電話とFAXがありました。


 固定電話が当たり前の時代。

 便利です。


 故に、間違いFAXもございます。


 間違いFAXは、個人からではなく、ほぼ、企業からでした。


 たとえば、中古車販売業者さん。

 車種とか、ナンバープレートの番号とか。

 たいてい、こちらで廃棄します、とお伝えしたら普通に謝罪してくれます。

 

 そうではない場合。それが、もやもやなのです。


 多分、保険会社さん。

 外部に知られたらいけない、お客様の個人情報……だったと思います。

 担当者名が分かりましたので、電話します。


「〇〇さんはおられますか」

「はい、私です」

「FAXを送り間違えていましたよ。自宅に届きました」

「そうですか」


 ん?

「廃棄をお願いします、とか、お手間を申し訳ございません、とかはないのですか」

「ああ、はい、そうですね。お願いします」


 これは、ダメだ。

「電話を切りますね」

 ちゃんと伝えて電話を切ったかどうか、覚えていません。


 そして、リダイヤル。


「はい、株式会社🔘🔘、⚪⚪と申します」

 さっきの人ではありません。電話対応がまともです。


「そちらに、〇〇さんという方がおられますね」

「はい」

「〇〇さんが間違えてFAXを送ってきましたのでご連絡したのですが、そうですか、でお詫びもないのですよ」

「も、申し訳ございません!」

 よかった、やっぱり普通の会社員さんでした。

 ○○がですか! という驚きは一切ないのですね。


「電話をしましてFAX間違いをご連絡するのは、こちらとしましては手間ですよね」

「ご尤もでございます。申し訳ございませんが、お詫びと、そから、FAXされましたものを受け取らせて頂くために、ご自宅まで伺わせて頂くというのは……」 


「嫌ですね」

 嫌ですよ。

 嫌だから、名乗らずに電話をしているのです。


「失礼いたしました。それでは、廃棄をよろしくお願い申し上げます」

「分かりました。ところで、間違いFAXについての御社の対応は〇〇さんのご対応が正しいのでしょうか」 

「そのようなことはございません、お伝え頂きまして誠にありがとうございます」

「〇〇さんの上の方にもよろしくお伝え下さい」 

「必ず伝えますので!」

 最後の言葉は、力強かったです。


 〇〇さん、色々やらかしているのでしょうか? 


 こちらのもやもや。

 エッセイ。に書きまして、少し、もやもやが晴れた気がいたします。


 ですが、新しいもやもやが。


 FAX(ファクス)、リダイヤル。


 注釈、必要でしたか……?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

多分、もやもや。 豆ははこ @mahako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ