第10話

また、2人の声が近づいて来る。

「コレ、帰りに捨てて帰って」

語気を強めていう美幸に少し押されたが、反論する一輝。

「なんで、まだ、使えそうじゃん」

「いいから捨てて、邪魔なの」

美幸に完全に押し切られた一輝は捨てて帰る事を承諾した。


一輝が持ち上げるとかなりの重量。

「なんでこんなに重いんだ?」

「知らないわよ、実家から送ってきたのよ」

「そっかぁ、お前の実家金持ちだもんなぁ」


そう言うと、一輝は椅子を持って帰っていった。

一輝も椅子にしてはかなりの重さのある椅子を美幸のマンションの前の公園の草むらに投げ捨てて帰ってしまった。



私は彼に捨てられた。

女性としても、椅子としても……… 。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間椅子 ごむらば @nsd326

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る