第4話 食料問題と訪問者

ほぼ遭難者である私は飲み水を一旦確保し、


次に食料をどうやって確保するか考えていた。


森にでも行って果物を取ろうかと思い、集めておいた砂浜の貝殻を道しるべに


森へ入ったのだが...


最初のイメージ通りその森はかなり深く近くに果物もなかったので


果物作戦は泣く泣く断念することになった。


次に思いついた案として釣りでもしようとしたのだが


森の入り口にある枝では強度が足りないし木を切ろうとしても


木を切る道具がないので作れないためこれも断念する。


動物を捕まえることも検討したのだが落とし罠も作れないし


付近には動物の気配もなかったためこちらも泣く泣く断念した。


これ食料の確保どうしようか...


私は悩みに悩むが脳みそのスペックは足りないようで解決方法は浮かんでこない。


それから数十分は悩みつつけ、


これ以上悩むとそろそろ脳がそろそろ爆発しそうなので


オレンジ色に染まり海に沈んでいっている太陽を見ながら黄昏ることにした。


「はぁぁぁぁぁぁ...」


すごく深いため息をつきながら朝と同様に輝く砂浜に


腰を下ろしてさっきから鳴りやまないおなかをさすり


食べ物がない現実から目をそらして赤く染まった海へ意識を逃避行させる。


海鳥たちは空を飛んで海の向こうへ帰っていくし、


サソリとカニが混ざったサソリガニも自分の住処へ帰ろうと砂浜を闊歩してい...


「・・・食料いたぁ!」


目覚めたときと同じぐらいの声を張り上げる。


その存在を私はすっかり失念してたのだ。


ずっと周囲にいたのになんで私は気づかなかったのだろうか...


でもこれでいったん飢えをしのげる!


大声にサソリガニたちは驚きさっきよりもスピードを上げて逃げていく。


だが目の前の食料をみすみす逃す私ではないのだ。


転生前の健康だった肉体よりも転生後の肉体のほうが何倍も動きが早い。


私は目の前のサソリガニをあと少しで捕まえられる距離に入る。


「もらったぁぁ~!」


そう叫びながらサソリカニをつかもうとした瞬間、どこからか声が聞こえた。


「触っちゃだめ~!!」


後ろから聞こえたその声はすごくかわいい女の子の声だったがこの周辺に人工物も人影はなかったことを


私は森探索のついでに確認している。


不思議な現象に反応してしまった私はその一瞬の隙を突かれサソリガニを逃がしてしまう。


誰だ?私の晩飯捕獲を邪魔した輩は...と空腹でそこに人がいると思い込んでいた私は


声がした後ろに振り向きその姿を確認する。


でもそこにいたのは人ではなく...


神様と同じようなわっかをつけたシマエナガであった...

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異世界漁業日記 〜異世界に転生したので前世でできなかった漁業します〜 スピの酢 @supinosu

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