カンカン

ユキ丸

カンカン



午後の凪 回転させよ洗濯機 のみ込んでゆく、まだら覚醒


そと階段 かけのぼってくカンカンと(ぼくの野原はカンカン照りさ)


この函を開けるとぼくは消滅する、だのにうさぎは話しつづける


つながらない 電話をかけるつながらない断片みたいな告白だから


膏肓に深夜ラジオの流れてて(もうだいじょうぶ)一群をみる


逆運のこの身の上の黒白をひっくり返せ、うさぎオセロよ


縁側にブルウを溶いてぶつぶつと呪文を唱え 飛んでくパセリ


空っぽのマグカップを傾けて一滴もないコーヒーを飲む


いく年も止まったままの時計には化石となった火照りの宿り


太陽の爆発のあり、引き潮の トマトを刻む 幻想の庭


遅れてるあなたを待って、大の字のくまを傍目に 向日葵のビル


まんが描き、(うさぎ紅茶の時間です)やっぱりうそだ まんが描かない


シンシアな葬儀社からのお礼状、ははの日のはな 永久フォルテ


母様は韃靼海峡渡ったの韃靼海峡 地図でさがす日


家電たち一斉不調してたけど一斉復調してくれている


かけ声で立ち上がる意志 死にそうで 息深く吐く 瞑想のとき


バッキバキ掃除のあとの筋肉痛ポートレートは若返ってる


冷蔵庫たな卸する過ぎている過ぎてはいない過ぎてる あなた


恐そうに見えることを気にしてる(うさぎは見た目かわいすぎてる)


ファントムの遺物が世のなか多すぎて、フェードアウトするリアルのぼくを

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カンカン ユキ丸 @minty_minty

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