本編① アストラル・ラビリンス - 無数の岩石が飛び交う危険な領域

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◾️ 登場キャラクター

・オリオン - オリオン座の勇士

 堂々たる体躯と鋭い目を持つ大柄で、戦士の装束を身にまとった男

・カシオペア - カシオペア座の女王

 魔法の力を持ち、高貴な美しさと冷静な知性を兼ね備えた女性

・ペガサス - ペガサス座の馬

 白銀の翼ときらめくたてがみを持つ美しい馬

・トム - 星空を愛する少年

 宇宙の秘密を探る冒険に出たいと夢見る主人公

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 星座たちは、トムにこの旅の計画について説明した。


「トム、これから私たちが向かう終着点は、ブラックホールだ」


 オリオンの真剣な眼差しに、トムは息を呑んだ。


「ブラックホール…?」


 トムの声は震えていた。聞いたことのある言葉だったが、その正体は謎に包まれている。


「そう。宇宙のすべての謎が集約された場所だと言われているんだ」


 カシオペアが続けた。その美しい瞳には、神秘的な光が宿っていた。


「でも、そこに行くには、いくつもの困難が待ち受けているわ」


「どんな困難なの?」


 トムは不安を隠せずにいた。


「まず、アストラル・ラビリンスと呼ばれる小惑星帯を通り抜ける必要がある」


 ペガサスが説明した。


「無数の小惑星が複雑に絡み合っていて、非常に危険なんだ」


「そ、そんな場所を通り抜けられるの?」


 トムは恐る恐る聞いた。


「大丈夫。私とペガサスのコンビなら、きっと突破できるさ」


 オリオンが自信たっぷりに言った。


「そのあとは、古い宇宙船の墓場、宇宙海賊の根城、そして巨大なドラゴンが住まうと言われている星雲を通過しなければならない」


 カシオペアが続けた。


「最後に待ち構えているのが、我らの目的地、ブラックホールだ」


「で、でも、どうしてそんな危険な場所に行く必要があるの?」


 トムは怯えながら尋ねた。


「ブラックホールには、宇宙の真理が隠されているんだ」


 オリオンは真剣な眼差しでトムを見つめた。


「その真理を解き明かすことができれば、君の村や、宇宙に平和をもたらすことができるかもしれない」


「ええ。だからこそ、私たちにはこの旅が必要なのよ」


 カシオペアが優しく微笑んだ。


 トムは仲間の言葉を聞いて、恐怖心よりも、使命感が芽生えてくるのを感じた。


「わかった。僕も、宇宙の真理を探求する旅に参加させてほしい」


 トムは決意を込めて言った。


「よし、じゃあ出発だ!」


 オリオンが力強く宣言し、一行はブラックホールを目指して、旅を続けた。


 しばらくして、彼らはアストラル・ラビリンスに到着した。


 眼前に広がったのは、無数の岩石が複雑に交差する、混沌とした光景だった。大小様々な小惑星が、互いに衝突しながら、不規則な軌道を描いている。


「これが、アストラル・ラビリンスか…」


 トムは息を呑みながら、目の前の光景を見つめた。


「こんなに小惑星が密集しているなんて、想像以上だね」


 カシオペアが言う。


「こんな場所を通り抜けるなんて、無謀じゃないのか?」


 トムの声は不安げだった。


「大丈夫だ、トム。俺とペガサスがついている。必ず守り抜くから」


 オリオンが力強く言った。


「そうだよ、トム。私たちは一丸となって、この困難を乗り越えよう」


 カシオペアも微笑みかけた。


 トムは仲間の言葉に勇気づけられ、恐怖心を振り払った。


「うん、君たちがいれば、どんな困難でも乗り越えられる気がする。僕も頑張るよ」


 トムは仲間への信頼を胸に、ペガサスの背中にしっかりとしがみついた。


「よし、行くぞ!」


 オリオンの合図で、彼らはアストラル・ラビリンスに飛び込んでいった。


 小惑星の間を縫うように、ペガサスは機敏に飛行する。


 オリオンは鋭い目で周囲を観察し、次々と迫り来る小惑星の位置を予測していた。


「ペガサス、左に避けろ!」

 オリオンの鋭い叫び声が響く。


 巨大な小惑星が、猛スピードで彼らに迫っていた。


 ギリギリのタイミングで、ペガサスは左に急旋回した。


 翼を大きく広げ、体を横に傾けながら、小惑星の側面をかすめるように飛行する。


 トムは必死にペガサスの背中にしがみつき、バランスを取ろうとしていた。


 オリオンは、トムの体を支えながら、小惑星の動きを注視している。


 小惑星の表面は、クレーターや尖った岩で覆われていて、少しでも触れれば、致命的な損傷を受けるだろう。


 ペガサスの翼の先が、岩肌を数センチのところでかすめた瞬間、トムは息を呑んだ。


 しかし、ペガサスの機敏な動きと、オリオンの的確なサポートにより、彼らは無事に小惑星をかわすことができた。


 ほっとしたのも束の間、次の瞬間、新たな危機が訪れた。


 複数の小惑星が、前後左右から同時に迫ってきたのだ。


「囲まれているぞ!」


 オリオンが叫ぶ。


 トムの心臓が、どくんと高鳴った。


 ペガサスは素早く高度を上げ、迫り来る小惑星を下からかわした。


 しかし、上昇したことで、別の小惑星の進路に入ってしまったのだ。


「上だ、ペガサス!」


 オリオンの指示を受け、ペガサスは再び高度を上げる。


 が、そこにも小惑星が待ち構えていた。


「くそっ、どこに行っても小惑星だらけだ!」


 オリオンが歯がみする。


 トムは恐怖で体が硬直しそうになるのを必死で堪えた。


 このままでは、衝突は避けられない。


 絶体絶命のピンチに、トムの脳裏に、ある光景が浮かんだ。


「そうだ、あの時のように!」


 トムが叫ぶ。


「ペガサス、羽ばたいて!」


 トムの言葉に、ペガサスは力強く羽ばたきを開始した。


 強烈な風圧が、小惑星を吹き飛ばしていく。


「そのまま、ペガサス!」


 トムが叫ぶ。


 オリオンも、トムの作戦を理解し、ペガサスの首に手をかけ、体を低くした。


 ペガサスは、羽ばたきを続けながら、次々と迫る小惑星をかわしていく。


 まるで、風を切り裂くように、アストラル・ラビリンスを駆け抜けていった。


「やったぞ、トム!」


 オリオンが歓声を上げる。


 ペガサスの羽ばたきが生み出した風は、小惑星を大きく払いのけ、彼らの前に道を切り開いたのだ。


 トムは、自分の閃きに感謝しつつ、ペガサスとオリオンの力を借りて、危機を脱したことに安堵した。


「ありがとう、ペガサス、オリオン」


 トムは二人に感謝の言葉を告げた。


 この困難を乗り越えられたのは、仲間がいたからこそだ。


 一人では決して生き残れなかっただろう。


 トムは、改めて仲間の大切さを実感したのだった。


 アストラル・ラビリンスを抜け、広大な宇宙空間が彼らを出迎えた。


 オリオンとペガサスの息の合ったコンビネーションと、トムの機転により、彼らは見事に小惑星帯を突破したのだ。


 新たな冒険の舞台が、彼らを待っている。


 仲間との絆を胸に、トムは希望に満ちた眼差しで、前を見据えたのだった。


(② 宇宙の藻屑となった古い宇宙船に続く)

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きらめく絆、宇宙への旅 藤澤勇樹 @yuki_fujisawa

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