第16話 流行りのアニメ
お題 ①薔薇 ②ちいかわ ③ナス
「ごめんください」と外から声がして、私は玄関の引き戸を開けた。
「はーい。あらまあ」
玄関に立っていたのは老齢の女性と、小さい男の子。女性は近所のマリさんで、男の子はその孫のヒトシ君。
「こんにちは。暑いわねえ。中に入ってちょうだい」
私は土間に上がるよう勧める。
「マリさん、どうしたの?」
「夏野菜。うちの畑で採れたのよ。食べてちょうだい」と笑顔で重そうなビニール袋を掲げて見せた。
「まあ、ありがとう。大きいナス! いつも悪いねえ。暑いし、冷たい麦茶でも飲んでいって」
私は二人を居間に招き入れた。
「どうぞ」
私は、麦茶の入ったグラスを机に置く。マリさんが「ありがとうねえ。ほらヒトちゃんも、ありがとうは?」
けれど、ヒトシ君は何やらスマートフォンに夢中な様子。ちなみにスマホケースは、女の子が好きそうな薔薇柄。このスマホはマリさんか、お母さんの物かしら?
「もう。スマホ見ていれば静かで良いんだけど、これじゃあ何だかねえ……ごめんなさいね」
マリさんが困ったように笑う。
「ヒトシ君、何見てるの? アニメ?」と私が訊ねると、ヒトシ君はパッと顔を上げ嬉しそうに言いました。
「うん! 動物がいっぱい出てくるやつ! 今、みんな見てるんだよ!」
「そうなんだ。おばあちゃんにも見せて。あら、この子はなんていう子?」
「くりまんじゅう!」
「栗饅頭?」
どうやら、このアニメでは栗饅頭も喋るようです。最近のアニメは面白いわね。
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