最終話 あたくしのお婿さんですわ!
カタリナが目を覚ますと、辺りが銀色に光る不思議な葉っぱの森にいた。
カタリナを心配そうに覗きに込む瞳とは別に、彼女は別の人物を捉えていた。
銀色の長い髪と優しい瞳……五年前に最後に会っ時と変わらない風貌で……。
(お父様……?)
カタリナが呟くと、その人物は消えていった。
「カタリナ姫!! 大丈夫ですか?」
近くに目を向けると、神の子孫だとかいう若様(姉と同じ年)がいる。
ビルラードの王宮を出てくる時に最後に会ってた人物だ。
心配そうに、カタリナを抱き抱えていた。
「
「無理な力の使い方をしましたね」
「は!?」
「ナムラ砂漠にオアシスを造ってしまうなど……身体の方は大丈夫ですか?」
そう言えば、レジ-ナがいっていたなと思い出す。
レジ-ナの使った水の
カタリナが、砂漠でオアシスを造ってしまったことは、知られているのだ。
できれば、レジ-ナのそばにいたかった。
でも、それは二人の安全な生活を脅かすことでしかない。
ドーリアという
だからこそレジ-ナは、強い口調で「帰れ!」と言ったのだ。
「姫?」
カタリナは我に返った。
「身体なら平気ですわ!! もう一つオアシスができるくらい歌えましてよ」
カタリナは、飛びきりの笑顔で答えた。
ミルドランは、姉姫の凛々しさにひかれたが、カタリナのたくましさも好ましく思った。
「歌が……魔法が好きですか?」
カタリナは、ミルドランの突然の言葉に驚いた。
「はい、でも王宮では歌えませんの。皆に迷惑をかけてしまいますから」
「では、私に嫁ぎませんか? ここは銀の森です。魔法の発祥の地ですよ。ここなら好きなだけ魔法が使えますよ」
「本当ですか!? 本当に好きなだけ魔法を使って良いんですか? 歌って良いんですか!?」
「危険な事はしないと、約束してくれればです」
カタリナの笑顔にミルドランも笑顔で答えた。
▲▽▲
「若様~!! 中庭がジャンクルになりました」
「若!! 裏庭に温泉が湧きました~」
使用人たちの報告の度ごとに、屋敷がどんどんとんでもないことになっていく。
(まさかここまでとは……)
ミルドランは、苦笑した。
銀の森にも、この屋敷にも、魔法に対する十分な結界が張ってあるはずなのに……
カタリナは、まだ、13歳と幼く婚礼はまだ先だ。
しかし、兄王のラルフォンと、約束してしまったのだ。
「返品不可」と……。
(完)
星降る夜は大地の歌を謡おう《姉姫の駆け落ちに妹姫が付いて来た件》 月杜円香 @erisax
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