**第1話: コロッセウムの試練**



太陽が燃えるように輝く朝、大アレクサンドロス帝国の辺境に位置するパティア市は、その日一際大きな活気に包まれていた。パティアは山々に囲まれ、川を渡ると港町マルチバがあり、これらの都市がアレクサンドリアへと続く重要なルート上に位置していた。この日は特別な奴隷オークションが開催され、多くの奴隷が石造りのコロッセウムに集められていた。


サウロとポーンはその中にいた。彼らは鎖で繋がれ、市の街道を進む。ポーンが尋ねた。「お前、どこから来たんだ?」サウロは静かに答える。「南の端だ。緑豊かな土地から。」


彼らが歩む街道の両脇には、貴族たちが豪華な衣装をまとい、優雅に食事を楽しんでいる姿があった。市民たちは奴隷たちを冷ややかな目で見つめ、彼らの運命を嘲笑っていた。パティア市は、長い歴史を持ち、その繁栄は他の都市からの交易と強力な防御に支えられていた。


コロッセウムに到着すると、彼らはアーチをくぐり抜けた。その中はすでに観客で埋め尽くされており、その大半が壮麗な衣装を纏った貴族たちだった。彼らの間から飛び交う歓声や野次が、緊張感を一層高めていた。


闘技場の中央に立つ主催者が、その威厳ある声で号令を下した。「殺れ!ただ生き残れ!ここには命が多すぎる…」言葉と共に、空から棍棒が雨のように降り注がれ、奴隷たちはそれを手に取り、生き残りをかけた戦いを開始した。女性の観客が悲鳴を上げる一方、隣の男性はよだれを垂らしながら笑っている。


サウロとポーンは力を合わせ、必死に生き延びようと奮闘する。やがて剣や斧が投げ込まれ、戦いはさらに激しさを増していく。その中で、サウロは何かを感じた。身体の中で何かが変わり始めているようだった。


「なんかわかんねえけど、この剣勝手に動くんだ。はは、剣は俺のご主人様かよ」とポーンは言う。


「ところでお前なんだ?その力?試しに月まで石でも飛ばしてみたらどうだ?」という。


「わからんが謎だ。触れたものが加速する。」とサウロは言う。


「そりゃすげーや!なんか食っちゃたんじゃねえか?腹壊すぞ。おっと…」とポーンは言う。


「壊せる腹が残ってたら良いがな…」とサウロが言った瞬間、ポーンの剣が勝手にムチのように動いて斜め後ろの奴隷を打ち倒した。


「はは。すまん。俺のご主人様がお前の腹を食っちまったらごめんな。」とポーンは言った。


その間、リルダは冷静に戦場を見渡し、長剣と短剣を巧みに操りながら、戦況を有利に進めていた。リルダの動きは速く、精確で、観客たちの目を奪った。サウロがふと耳を澄ますと、リルダの声が聞こえた。「ここから逃げ出す準備はできている。」


サウロはその言葉に驚き、リルダに目を向けた。「まさか?女?」と彼に一瞬の驚きが走った。


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廻る秘剣の物語 目黒紗枝 @caedecho

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