第一〇〇話 効率的な育成システム

 

 人間には高度な学習能力と適応力が備わっている。

 ゆえにこそ……


 前回のような失態を演じることは、なかった。


 今に至るまで続いたそれは、全てにおいて合理性に基づいたものであり、決して欲望が暴走した結果などではない。


 アスカを苦しめる淫紋の煌めき。

 これを消失させるために、必要なことを、必要な分だけ実行する。

 俺の中にはそうした目的意識だけがあり、不純な感情もなければ、必要以上の熱量もなかった。


 だから、そう。


 避妊具を一箱分、使い切ったのも。

 乱入したキリカの目前にて、行為を続行したのも。


 全て、淫紋のせいである。


 アスカの下腹に刻まれたそれは、実にしぶとく……

 結果として。

 妖しげな煌めきが消失したのは、行為を始めてから二時間が経過した後のことだった。


「~~~~っ♥」


 ベッドの上で、全身を痙攣させるアスカ。


 桃色の唇から艶っぽい吐息が漏れる度に、豊満な乳房が小さく揺れ動く。

 純白の肌は、しっとりと汗ばんでいて。

 流れ落ちたそれを吸収するシーツの上には……


 中身がパンパンに詰まった、大量の避妊具が、散乱している。


「……換気を、頼めるか?」


「……うん」


 すぐ傍に立っていたキリカが、小さく頷いて、淡々とこちらの指示通りに動いた。


 彼女もアスカと同様、腰を小さく震わせているが……

 そこに対しては、あえて言及を避けよう。


 俺とアスカの行為を目にして、発情した彼女がいかなる行為に及んだのか。

 それは、見なかったことにするのが、正解というものだろう。


 ともあれ。


「……いったい、なんのために、こんな」


 淫紋によって生じた時間の浪費。

 その理由を探らんと思索を始めた、そのとき。



『時雨アスカのレベルが上昇しました』


『各パラメーターが向上』


『新たなパッシブ・スキルを獲得しました』


『新たなアクティブ・スキルを獲得しました』



 脳内に、聞き覚えのあるそれが響いてから、すぐ。

 半透明の板が、目の前に顕現する。


 果たして、そこには次の文字列が記載されていた。



『パラメーター』

 名称:時雨アスカ

 基礎lv:27(15UP!)

 燼器Lv:20(10UP!)

 HP:1450(700UP!)

 MP:600(300UP!)

 体力:1300(900UP!)

 筋力:1200(700UP!)

 耐久:1100(500UP!)

 敏捷:900(400UP!)

 特攻:400(200UP!)

 特防:900(400UP!)


『燼器スキル』

☆パッシブ

 怪力無双Lv4(2UP!):全パラメーターに20%の補正。

 損傷変換LV1(New!):受けたダメージ量に応じて特攻値と筋力値が増加。

☆アクティブ

 轟斬撃Lv5(4UP!):MPを50消費し、対象に筋力参照の60%ダメージ。

 斬空衝破刃Lv3(New!):MPを70消費し、広域対象に特攻&筋力参照の40%ダメージ。



 ……全てを確認し終えた後、半透明な板が消失する。


 それと同時に、俺は理解した。

 セシリア達がアスカに淫紋を刻んだ理由は……



 彼女を、効率的に育成するための措置だったのだと。






 ~~~~あとがき~~~~


 ここまでお読みくださり、まことにありがとうございます!


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 今後の執筆・連載の大きな原動力となりますので、是非!

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2024年10月30日 00:02
2024年11月4日 00:02
2024年11月9日 00:02

王国の闇を支配する最強最悪の貴族(陵辱系エロゲ主人公)に転生した俺、アブノーマルな展開は嫌いなので普通に穏やかな生活を……送ろうとしてたんだけど、気付いたら『ある意味』原作シナリオと同じ状態になってた 下等妙人 @katou555

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