The hole
ANNZY
エピローグ
ほとんどの葉が落ち枝が寒々と青空を仰ぎ始めた昼下がり、公園のベンチで腰掛けている人がいた。空を見ているかのようであったが、その顔には晴天にもかかわらず雲が掛かり、影が差しているように見える程表情には生気がなかった。顔は前方を向いていたが瞳を覗くとその奥はパレットに沢山の色をぶつけ合わせぐちゃぐちゃに混ぜた、そんな色を写していた。乾いた風に踊らされる足元の落ち葉の音、遠くで遊ぶ子供の声、車の音、どれもこれもに関心を寄せることはなく、あたかも聞こえていないかのようであり最早どこからか運ばれ、放置された物体であった。それは微動だにすることなく、近くの教会から正午の鐘の音がなり日が傾き公園一面が茜色に照らされた頃、静かに息を吹き返したように立ち上がった。そしてそれは西日に背を向け影を落としながら何処かへと向かっていった。
The hole ANNZY @ANNZY
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