この地の夜かの地の夜

静かに夜が降りてきた


山がシルエットになり

山腹に白や黄色の灯が点る


オーガンジーの冷気が

夜空をただよい

月と星が銀色に光る


濃紺の粒子が

空を覆いつくし

世界がひととき

色をなくした

静けさの中

何事もなく

過ぎた日を想う


かの地では

今日の闇を越え

明日もまた越え

永遠に越えてゆく

かのように見える


そんな想いを

唐突に断ったのは

鼻孔にかぐわしい

ご飯の炊ける匂いだった


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330667623400932

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩集◆永遠の戦場… 紅瑠璃~kururi @rubylince

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画