やっといなくなったから、総括
その後の改装の日々は、彼女は現場に出てくることはほとんどなく、事務という名の裏方作業に回っていました。逆に私は改装期間中のシフトが2度も変わった上、現場での作業に大忙しでした。4月の末にリニューアルオープンし、その前後でIさんの旦那が応援の人間として職場に来ていました。
リニューアルオープンセールが落ち着き、5月のGWが終わるタイミングで、Iさんがやっといなくなりました。新店の店長に就任する旦那についていくためです。
私はLINEのオープンチャットにて、報告とともにこんな本音を漏らしています。
「職場では禁句にしていたけど……あんなのさっさといなくなってよかった」
地獄の数年が終わり、私は少しずつ羽を伸ばし、気楽に仕事や勉強に毎日、時間を費やしています。
私がカクヨムにて過去に投稿したエッセイ2作。どちらにも裏では、あいつとは違うという、私の怒りが込められています。
『ある女の子の心をつかんだお話』では、私がとあるお客さんのお子さんを救ったことが記されています。Iさんは離婚前、体調不良で入院していた子供を前の旦那さんに任せ、仕事に行ったそうです。そしてその後は、今の旦那のもとへ走っていきました。育児放棄という名の母親失格。母親失格――彼女のことを最初にこうして猛批判していた、私の母親の言葉です。
私の母親は『自分の子供が具合悪いのに旦那(=前の旦那さん)に投げて自分は仕事に行くだなんて許されるもんじゃない! 子供が小さいうちは母親がしっかり寄り添うべきだ!』と。だから、そんな奴の言うことなんて鵜呑みにするなと母親から言われていたものです。この話を母親にした当時は不倫の話をまだ知らない頃でしたが、その頃からかなりの問題児でした。
そういえば23年の大晦日(日曜日でした)の時、お客さんのお子さんが売り物の茶碗を落として割ってしまいました。近くにいたはずのIさんは自分のことに忙しいのか、他の人間に後始末をするようインカムで業務連絡したのです。私はこの日薬局ワンオペ日でしたが自分のことを投げ出し、お子さんが落としてしまった茶碗を率先して片付け、お子さんの目線に合わせ『大丈夫だよ』と、泣き出さないように優しく声をかけてあげました。
――子供という小さな存在の扱いの違い、お分かりですよね?
『将来を見失った私、ここにいる。』では、私がかつて付き合った男とのこと、そして別れてからどん底に落ち、マイナスからのスタートになったこと。そこから長い年月をかけて、資格者として新たな道を切り開いたことが記されています。私は男と付き合い始めた時点で既に呪われていた……そんな事実を書いてみて気づかされ、Iさんみたいに悪態を犯す人間が何故、人生が上手くいくのか。本当に、腹ただしい思いでいっぱいでした。
「はづきちゃんには幸せになってほしい――」
今まで積み重ねた私の苦労を理解してくれた、オープンチャットで知り合った方の1人の言葉です。私は現在、ほとんどネットの場では、はづきとして活動を続けていますが……昔は本名由来のあだ名で活動していたけど、昔付き合った男の仲間がSNSで私を探し出すせいで名前を変えざるを得ず、何度か変更に至り、今の名前に至ってます。『将来を見失った私、ここにいる。』では言及しませんでしたが、こうした苦労もしてきた経緯もあります。
私は人様に迷惑をかけてきていません。なのに何故、苦労ばかりの人生なんでしょうか。逆に自分の家族にも迷惑をかけた奴の方が何故、人生が上手くいくのでしょう? 納得できません。
Iさんがいなくなり、もうすぐ2か月がたちます。今言えることは。
――1回、地獄に堕ちてくれ。
めちゃくちゃ冷たい言葉ですが、あんなのチーフじゃなく、チーフという自分の立場を利用してきた人間だから、冷たく突き放しておきます。
人のことあーだこーだ言う前に、自分のことちゃんとするべき。来年から30代に突入するというのに、そんなこともできないのかよって。
ここまで書いてきた私も人のことは言えませんが、これを機にあの夫婦のことを振り返るのは、やめようと思います。ご安心くださいませ。
―完―
――――――
【作者より】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
このエッセイを元にした次作『悪者は皆の敵じゃ! ~コトハの静かな逆襲劇~』が24年7月より連載開始します。よろしくお願いいたします。
行きたくなかった送別会 はづき @hazuki_com
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