送別会の前日・当日

 24年4月。職場は改装に入り、慌ただしい撤去作業から始まりました。改装2日目、数少ない出勤者の中に私もおり、食料品や生活用品などの担当者――ほぼ商品管理勢で10何人しかいない中什器とゴミの仕分け作業をやっていました。本当はこの日を含め全員3連休だったのですが、予定が変わったためで。当然、Iさんは3連休。


 翌日が送別会。という訳で気が重い私はパートさん方と協力しながら作業を進めていました。駐車場の端っこにてゴミの仕分けをやっていた時に聞いた新証言があります。


 ペット用品やレジャー用品などを扱うホビー担当者・Dさんがこんなことを言っていました。


「実は……Iさんの旦那にんですよね……」


詳しい説明を聞くと、面接を受けに行った時の面接官がIさんの旦那で、希望勤務時間が早朝であることを伝えてそのまま採用になったものの、契約時の勤務時間が昼間にされていたという。契約書を用意したのが、事務担当でもあるIさんだったと…。2人でやった感がどうしても見えてしまった私。


 この話をその場で聞いた私の反応は。


「Dさんのことを騙した奴の送別会に行くなんてね……」


Iさんの旦那が転勤した後の話ですが、Dさんが仕事を終え退勤してからの様子を、Iさんが倉庫にある防犯カメラの録画映像を再生し、カメラチェックしていたらしい。おめーが先帰っているのによくDさんの行動知ってんなと思うとともに、


「そんなことする奴ほど暇なんですよ」


ってばっさり裏で批判してやりましたねー。


 作業が終わって全員休みの2日間が来る。1日目が送別会でした…。


☆☆☆


 当日。午後6時から送別会が行われるので、それに合わせ早めに風呂を済ませました。その時点から、行きたくないわーと思いつつ準備していました。


 バスで最寄りの駅に着くも、まだ時間があるので近場で時間を潰していました。参加している複数のLINEのオープンチャットのうち2カ所に、間もなく行くということを報告しました。


 長い間そうでしたが、いつ・誰に・どこでIさんのことを話しても――批判の嵐でした。


「自分がその場にいても送別会嫌ですよ……」


私からIさんの話を聞いた人の1人が、そう言っていました。とりあえず何とか、本人から離れた席に座って凌ぐしかないと腹をくくって会場へ重い足を運びました。


 送別会の出席者のうち、精肉担当者は全員不参加でした。たまたまなのかは分かりませんが。私は古巣のレジ担当のパートさん方に囲まれた席に座れたので、少し心が救われた気がしました。先程の話の中で出てきたDさんも来られていましたね。


 何だかんだで有意義な時間でした。Iさんの挨拶は最後まで聞いて拍手はしましたよ。、それが礼儀だから。しかしそこで、まだ1ヶ月弱はいるという、ガックリきた事実を知りました。


 明日も休みだからいいやと思い参戦した二次会でIさんが。


「〇〇ちゃんといったらたまごっちでしょ?」


と、テーマソングやらをカラオケで歌わされる私。何を根拠にそんなことを言うのかさっぱりでした。小学生時代マンガ買って読んでいたから好きではあったけど、そんなのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る