自室

 おじいちゃんとおばあちゃんの同時葬儀どうじそうぎを終えて火葬を済ませた後、近くに居た春花に腕を掴まれ無理やり屋内から屋外へと連れ出された。


「私達の関係、本当に終わらせるつもりなの?」

「だって親戚同士だよ?」

「親戚同士だからなに? 別に悪い事なんて何もしてないよ? 好きなら好きで良くない?」

「それはそうだけど……」

「ずっと大好きでした、私と付き合ってください」

「は……はい……」

「今からお家に行って良い?」

「今から? なんで?」

「お葬式が終わったんだからもう良いでしょ? この後、お寺へ行ってからまた長時間の正座だよ? お経を聞きながらまた焼香するんだよ?」

「分かった、母親には仮病を使って先に家で休んでるって言うよ」


 俺は初めて家の自室に春花を招き入れた。

 おじいちゃんとおばあちゃんの火葬終わりに春花から告白をされて付き合い始め、その数時間後に男女の関係を結んだ。

 瑞々みずみずしい身体を夢中で求め、何度もみだらな吐息をらす春花を抱いた。


 顔を包帯でぐるぐる巻きにしたおじいちゃんがベッドの左脇に佇み、俺と春花の行為をいつまでも見下ろしていた。

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春花 川詩 夕 @kawashiyu

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