第四話

クロはエルフォードを連れて、街へときた。

まだ発展途中であり、所々まだ荒れている。

この光景にエルフォードは呆然とし、クロも苦笑いを浮かべている。


「まぁ、まだまだこれからさ。」

「そ、そうですね。」


城へと案内すると、エルフォードは驚いていた。


「立派な城がこんなところに……。」

「これも一応治したんだけどね。」

「凄いですね。」


エルフォードの言葉に、クロはありがとう、と笑みを浮かべる。

すると、城からスラ吉が出てきた。


「この子は?」

「この子はスラ吉、お城の見回りと掃除を頼んでるんだ。」


クロはスラ吉を抱っこして自己紹介をする。

スラ吉も、よろしくと伸び縮みする。


「モンスターを従えるとは、さすがクロ様ですね。」

「いや~、それほどでも……、クロ様?」


クロはエルフォードの言葉に首を傾げ


「えっと、今、何て言った?」

「さすがクロ様ですね、と。」

「いや、ちょっと待って、何で様付?」

「私は、クロ様に助けられました、それに街を直し、モンスターを従える力を持っている。」


エルフォードはクロを賛美している。

そんな彼を、クロは止めることはできなかった。


「そんなあなたに、私は忠義を尽くすことにしました!!」


エルフォードは跪いて、首を垂れる。

クロはそんな彼を見て、パニックになった。


「ちょ、ちょっと待て!! そんな忠義なんて……!!」

「いえ!! 私はクロ様に忠義を尽くします!!」


どうしようかなと考えていると、ウィンドウが出てくる。


『エルフォードを仲間に加えますか?』


「仕方ない、誘ったのは俺だし、仲間に加えるよ。」

「ありがたき幸せ!! この身を挺しても、クロ様の身を守りましょう!!」

「大丈夫かな……。」


そんな不安の中、街の修復をやっていく。


「武器屋は終わったから、今度こそ酒場で!!」


酒場を選択すると、金槌が出てきて、酒場を修復していく。

酒場の次は、食事場を選択する。


「おっ、レベルアップしたからか、修復可能が一つ増えたんだな。」

「さすが、クロ様です!!」


クロの作業を見守っていたエルフォードは、賛美の言葉を贈る。

クロは慣れないながらも、照れて、ありがとうと言った。


その時、街の入り口が騒がしくなっていた。

クロとエルフォードは、騒ぎの原因を見に行くことに。


入り口には、モンスターの姿が多く見られた。

種族からして、オーガ族だろう。


「姫、ここならば安全です。」

「ありがとう、隊長……。」


一人の女オーガが姫と呼ばれたオーガをの身を守るように前に立ち、安全確認をする。

残りのオーガ達も、武器をしまい、姫を守るように囲む。

それを見たクロとエルフォードは、オーガ達に近づく。


「何者だ!?」

「落ち着いてくれ!! 俺達は敵じゃない!!」

「問答無用だ!!」


女オーガがクロの言葉に耳を貸さず、斬りかかってくる。

その攻撃をクロは、ジャンプしてかわす。


「何!?」

「お願いだから、話を聞いてくれって!!」

「黙れ!! よくわからん奴の話など聞くものか!!」


女オーガの攻撃はさらに激しくなっていく。

しかし、クロは猫並みの神経で悠々と躱していく。


「くそっ!! ならば我が技を喰らうがいい!!」


女オーガは剣を鞘に仕舞い、居合の構えをとる。

エルフォードは、前に出ようとするがクロがそれを止める。


「喰らえ!!『裂空刃』!!」


剣を抜き振るうと、斬撃波がクロに向かって放たれる。

エルフォードが、危ない!! と叫ぶもクロは華麗に躱す。

そして、女オーガに近づき、剣を蹴り飛ばす。

女オーガは膝をついてしまう。


「くっ……。」

「さぁ、話を聞かせてもらおうか?」

「……わかった。」


女オーガはこれまでのことを語りだす。

オーガが暮らす街は、賑やかで平和そのものだった。

しかし、ある日ゴブリン族が侵略してきたという。

戦いはしたが、あまりの数にオーガ族はやられてしまう。

命からがら、この街に辿りついたという。


「成程ね……。」

「攻撃したのは謝る、だが!! 姫だけは助けてくれ!!」

「姫?」


女オーガの後ろを見ると、小柄な女オーガがいた。

彼女が姫なのだろう。


「我らは逃げる際中、全てを落としてしまったのだ。」

「金や食事もか?」


エルフォードの言葉に、女オーガは頷く。


「とりあえず、飯は何とかするとして、名前は?」

「そんなものはない。」

「じゃあ、俺が付けてもいいか?」


オーガ達はクロの提案に顔を上げる。

すると、ウィンドウが出てくる。


『オーガ達を仲間に加えますか?』


「ただし、俺の仲間になることが条件だけど……。」

「構わない!! 姫が助かるのなら!!」

「まずは姫さんからな。」

「わかりました……。」


怯えている姫オーガに、クロは優しく声をかける。


「じゃあ、『サクラ』なんてどうだ?」

「素敵な名前ですね……。」


名前を付けた瞬間、サクラの体が光りだす。

何と、オーガから人間の姿へと変わったのだ。

ピンクの鋳物を着ている。

この光景に誰もが驚きを隠せない。


「な、これは……!?」

「わ、私、姿が変わったのですか?」

「みたい、だね……。」


サクラの姿を見て、女オーガは次は自分がと名乗り出る


「私には、どんな名前を付けてくれるんだ?」

「そうねぇ、『ツバキ』なんてどうだ。」


先ほど同じようにツバキの体が光りだし、人間の姿へと変わる。

白い和服を着て、腰には剣を差している。


「これは……!!」

「何でなるんだろうな……。」

「ありがとう!! クロとやら!!」


次は俺が、いやあたしが!! と次々とオーガは名乗りを上げる。

クロは皆に名前を付け、オーガ達は人間の姿へと変わった。

特徴としては、角が残っているようだ。


「「「「「「ありがとうございます!! クロ様!!」」」」」


「って、お前らもかよ!?」

「仕方ありませんよ、クロ様は神様みたいなものですから。」

「なんだかなぁ……。」


街にオーガ族が加わった。

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クロの異世界転生記 維新コウゲツ @isinkougetu

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