日常からの脱却
大沢 ただし
非日常へ
私はいつもさえない大学生活を送っている。理由は簡単で、人と関わるのが苦手でいつもボッチだからだ。なにをするにも一人、それが私が送る毎日であった。そんな日々を送っている私でも、さすがにボッチはだめだろうと最近になってやっと思うようになった。それは数週間前にさかのぼる。
私が働いているバイト先でのことだ。
「ちょっと、そこにある箱持ってきてくれない?」店長が私に言った。
「どれのことですか?」私が聞き返す。
「もういいわ、自分でやるから。お盆でも拭いといてよ。」
このようなやり取りが数時間に一回繰り返される。さすがに店長もあきれている様子だった。私が悪いのだから仕方がない。やるせない気持ちがあふれてきた来た私は外にあった段ボールを手に力をこめて何回も殴った。その日の夜は霧が立ち込めていた。
家に帰ってきてふと思う。今まではボッチで何とかなってきた。でもいつか限界が来るのだと。将来仕事に就いたとして人と関わらない仕事はないし、嫌いな人ともうまく付き合わなければ生きていけない。私はとても簡単なことを忘れていたようだ。
「ボッチじゃだめだ」
日常からの脱却 大沢 ただし @karukaka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます