ソウル・オブ・ジ・オリジン編 第9話「真理と摂理を秘封する千変の迷宮」
その空間は一面灰色であり空には白く光る星と月、地面は真っ暗であるが視認はできる。
「あなた達に命じられた選択は、あなた達の未来を犠牲にするもの。」
「だ、誰!?」
声のする方向を見ると、一人の天使が美しい純白の羽を広げて優しい笑顔を僕に向けてくる。その笑顔は母が我が子に向けているような、純粋で優しい笑顔。
「私の存在はとてもおぼろげで、儚い夢の中の住人でもある。でもあなた達に託された力は世界の命運を預けた魂は、確かにこの世界に存在している。ごめんね、こんな枷を与えてしまって・・・。」
「それでも、与えてもらわなかったら。僕らはあのときに全滅していたかもしれないんだよね・・・?君たちの真の目的はわからなかったけど、僕の右目が少しだけ教えてくれた。君も利用される側のモノなんだろ?」
「ええ、そのとおりよ。だけどこれだけは忘れないで、私達はあなた達を守るために存在する。でも、私の言葉だけを鵜呑みにせずに、この世界を旅する中で答えを見つけてほしい。それが、オリジンとしての使命でもあり、必然な未来の形でもある。」
「僕にはこの世界の仕組みなんてわからないし、到底理解もできない。だけど守りたい者が居るなら、僕はどんな脅威だって倒し続ける。」
「そのとおりだ、お前も男らしいこと言えるんだな。」
「あたし自身の未来はあたし自身で決めるってずっと思ってるからね、運命の好きにはさせないよ。」
「私も、リヴァンさんの隣でこの運命に立ち向かおうと思っています!」
僕のとなりには頼もしい仲間たちがいる。
「僕には信頼できる大切な仲間たちがいる!どんな困難だって乗り越えられるさ。」
天使は少しさびしそうな顔をして、何かを決意したような表情をした。
「最後に、あなた達の魂の力を確かめさせてほしい。」
天使は腰に携えている装飾の綺麗な長剣を抜き、僕らへ向けてくる。僕らは一瞬で理解した。相手は格上の存在であり、多少なりとも本気で僕たちを倒しに来ると、僕らは本能的に理解し半身の武神を纏った。
「
天使がぼそっと呟くと、一瞬にして天使が目の前に瞬間移動し、すでに剣を振りかぶっている。僕はとっさに剣を構え、攻撃を受け止めた。しかし天使の一撃は重く、受け切るので精一杯だった。
「少し屈めリヴァン!
レインの必殺の一撃は天使に当たった・・・と思っていた。天使は武器を握っていない片手でレインの拳の勢いを殺していた。
「マーズビトリファイ!」
天使の持つ長剣に薄いガラスの膜のようなものが纏わりついている。その重い一撃をレインは武神で受けきり致命傷を免れた。だが武神の一部がガラスのように砕け散っている・・・・。
「っぶねぇ・・・。武神もこうなったらつかえなくなっているぜ・・・!」
「マルタ!あんたの力を借りたい!
「リセルさん、分かりました!
リセルの矢が当たる前にゴッデスブレスの効果が天使に付与され、天使は動きを奪われている。そしてリセルの矢が当たった・・・これで倒せるとは思ってない・・・だから!リセルの矢の効果があるうちに、僕も叩く!
「ハァァァァ!!
天使の首元に飛び込み、一閃!完全に捉えたと思った瞬間・・・。
「ルミナスヘミスフィア!」
天使の周りに半球のシールドが展開されている!?
「そ、そんな・・・!」
僕は天使の前で戦意を失い、立ち尽くしていた。
「ごめんね、みんな・・・。これで終わりよ!創造主の御名より命ず。その力の一部を、今ここに現詠す、我、御身の贄となり、この命を糧とし、裁きの槍を降らせん。開け、聖界の門。」
「
空間の全域の空に白金の魔法陣が展開され、無数の光の柱が空間を覆い尽くされていく。今回ばかりは諦めるしか無い・・・か・・・。そうして僕らは光に飲み込まれ意識が無くなる直前に天使の声が聞こえてきた。
「今は、ゆっくり・・・眠りなさい・・・。」
どこかへと飛ばされていく意識空間の中、男性の声が頭の中に直接響いてくる。
「一番目の魂は、君たちの因果を元に成熟され、オリジンの魂に変わる。犠牲の魂は、媒体の中で夢とともにさらなる進化を遂げる。とても朧気で、とても儚い、神秘の灯火だ。安心しろ、夢の中だけが君たちの思い描く未来を示している。怖がることはない、この物語の終点にはこの世界を構成している碑文が待っている。その碑文の前で、我らは待つ。」
そして僕らは眠りに堕ちていった。
創生の霊知の秘境では、不可思議なことが起こっていた。
目の前の光景が一変し、世界自体が変わった体験をした。
君達の繋がりとしてあるアビスは、君達の力そのものと密接した関係に存在している。
だが、安心してほしい。この世界で起こること全てに意味があるもの。
全ては今までの世界の異物を排除するための出来事。
さぁ、目覚めの時間だ、オリジンよ。
第一のアビス、終了。
ロストクラフト物語 仙道狐来 @sendo_korai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ロストクラフト物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます