第12話 彼女は、何歳か。

 本編第5話 「8月 火照るのはミヤコダさんのせい」

 ネタにした映画 『火垂るの墓』(1988)

 https://kakuyomu.jp/works/16816700428006723904/episodes/16816700428281251891


 こんちは、うびぞおです。

 実は、『火垂るの墓』を全部見たことがありません。部分的に目に入ったことはありましたけど……。

 うびぞおにとっては、ホラー映画よりもずっと怖いジブリ作品で、とにかく逃げてます。

 実は、『火垂るの墓』だけでなくて、戦争モノの映画を余り観たくないんです。邦画でも洋画でも。映画好きの教養?として、『プラトーン』とか『地獄の黙示録』とか昔の有名な戦争映画は一応は観ましたが、凄いとは思っても、好きにはなれません。

 理由は、まあ、臆病なんでしょうね。戦争によって感情が刺激されるのがイヤです。ホラー映画で人がたくさん殺されるのはフィクションとして楽しめますが、戦争映画で人が死ぬのはフィクションとして受け止められなくて、楽しむどころか、心情的にキツい。

 唯一、アニメの『この世界の片隅で』だけは、作品としてとても好きです。



 もういっちょ、本編第6話 「9月 カヌキさんは何歳?」

 ネタにした映画 『エスター』(2009)

 https://kakuyomu.jp/works/16816700428006723904/episodes/16816700428357215018


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 主人公が3人目の子供を流産してしまったことから、一家は新しく養子を迎えることにした。

 孤児院から引き取ったのは、赤ん坊ではなく9歳の聡明な少女だった。賢い少女は、耳の不自由な妹の面倒見も良く、すぐに家族に馴染むかのように見えた。

 しかし、次第に、少女の異常性が現れるようになり、家族の間もぎくしゃくし始める。正体を暴かれそうになった少女は人を殺し、さらに、主人公が少女に虐待を働いているかのように見せ掛け、主人公夫婦の関係も悪化し…

 少女の正体とその目的は?

(本編第6話から抜粋)

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 この映画、ネタばれなしで説明するの難しいなあ。

 怖いというよりは不気味。主人公たちには一切の非がないにもかかわらず、突然彼らの家に入り込んだ異物が次第に家を黒く塗り変え、気付いたら修正不可能なくらい真っ黒に染まってしまっている、「招かれざる客」系のスリラー。その客が秘密を抱えた9歳のあどけない美少女。

 恐怖に混ぜ込むエスターの秘密が含みなんですが、その含みの部分の塩梅を失敗すると、恐怖が半減し、つまんないホラーになります。この作品の場合、その秘密がうまく小出しにされていて、その正体は薄々勘付かないでもない。なので、残酷な美少女の正体が明かされた時、うびぞおは、やっぱりそうだったかと思いつつ、恐怖より「なんて哀れなんだろう」と悲哀を感じました。夫と妻、可愛い子供たち、そんなごく一般的な幸せを手に入れたいだけなのに、それが絶対に不可能な時、普通は諦めるしかないのだろうけれど、エスターは幼い子供を殺してでも、どんな手段でも惜しまずに足掻き、そして、主人公に正体を暴かれて、当然の如く破滅します。

 それって悲しいじゃないですか(まあ、当然の報いだったりはするんですが)。

 単に残酷な殺人鬼だけではないエスターの描き方が非常に良い映画だと思いました。

 ちなみに、サメ映画の回で紹介した『ロスト・バケーション』と同じ監督だったことに、今、気付きました。

 この映画では、可憐な美少女と残酷な殺人鬼の二面性を持つ複雑怪奇なエスターを、当時12歳の子役が演じたことが話題になり、うびぞおもその演技に驚きました。


 悲哀のある「刺さる」ホラー映画として、本編で、ミヤコダさんがこの映画を見て怖がりながらも泣いてしまうという場面を書きました。この第6話でミヤコダさんの繊細な面をうまく出せたかなと自分では思っておりまして、『エスター』をネタにしたのは正解だったな、と自画自賛しております。




 さて、ここで、話が終わらないのがうびぞおです。

 何度書いたか分からないけど、また、書きます。

『 続 編 に う ま い も の な し 』!!


『エスター』も13年後、続編が制作されました。続編と言いましたが、『エスター ファースト・キル』というタイトルの前日譚でした。いかにしてエスターが殺人鬼になっていったかを描いて『エスター』に続いていく物語になります。何が残念って、エスターがフツーに凶暴にしか見えなくて……。哀愁が足りんのですよ。

 そして、最大の問題は、9歳(仮)のエスターを演じた12歳の天才子役が、13年経って25歳の美しい女優さんに成長しているのに、9歳のエスターを演じたというところですね。CGとメイクと子供を使って頑張って幼く見せようとしたのは分かります。ですが、正直言って

 

 無理。


 25歳に9歳を演じさせるの流石に無謀だったと思います。エスターが子供に見えねえ、って映画を見ながら何度も思ってしまいました。まあ、似たような子役に演じさせたとしても、この脚本では面白くはなかったと思います。


 ところがですね、いいところもあったんです。うびぞお、この前日譚をたまたま日本語吹き替え版で見たんです。吹き替えがとても素晴らしくて、エスターの声あててる子供うまいなーって思ってたら、そうでない時の声が違って、これ、子供じゃないんだと気付かされました。子供の時と悪い時との演じわけが実に素晴らしかったのです。

 ちなみに、吹き替えた声優さんは矢島晶子さん。古い方のクレヨンしんちゃんですね。声優さんって凄いなあ(うびぞお、声優さんの声の聞き分けができません)。

 この吹き替え版の演技を聞くために、日本語吹き替え版で本編『エスター』をもう1回見ようと思っているところです。


 次回は、新作短編で似非エッセイを書きたいと思ってます。

 よろしければ、この映画でミヤコダさんとカヌキさんの話を書いてみろ、みたいな映画リクエストください。ホラーじゃなくてもいいけれど、肝心なのは、うびぞおが見たことのある映画かどうか(汗)。

 さて、なぜかニチアサ更新で続けています。よろしければ、また来週もお目にかかりましょう。

 今回も読んでくださってありがとうございました。



 うびぞお



 



 



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