第4話 これからよろしく
「いやいやいやいや無理ですってなんだべ無理ですって!?その前にこれ神のちょっといたずらなのかもなってかっこつけてた癖に!!」
「おまっ、心の中を読むなよ!恥ずかしいだろ!」
かっこつけたことは認めるが普通に考えて無理だろう。お助けマスコット試験とか意味わからんし、そもそもこいつの存在自体が意味わかん。9年だろが10年だろうがもうやばいことには変わりないし、そして何より
「お前を助けて俺に何のメリットがあるんだ?」
そう聞くとねこもどき(ぼびぃ)は待ってたかのように不敵な笑いをこぼした。
「よくぞ聞いてくれだべ、ボクを助けた暁には!!!」
ババン!!
「君にとびっきりかわいい彼女ができることを約束するっべ!」
タヌキ顔(ぼびぃ)はドヤ顔で俺に宣言した。世の男にとって将来絶対に彼女ができるというのはとてつもなく好条件だが…
「悪いが俺にはもう彼女がいる」
「へ?」
「調べなかったのか?1年前から付き合ってる彼女がいるから不要だ」
ぼびぃ(呼びたくないがもういい呼び名が見つからないので)はさっきとは一転、あからさまに焦りだした。
「そんな、お前みたいな奴絶対彼女いないと思ったのに……!」
「本当に失礼なやつだなお前、まぁいい。とっとと帰ってくれ」
ぼびぃを持ち上げ俺は再度、ゴミ袋にすてることにした。
「まだあるから!えっと…遊んでいけるほどのお金!はあるのか、あ!宿題毎日やってあげるっべ!って頭いいんだったなこいつ」
ギャーギャーー騒いでいる間にもうゴミ袋はこいつの目の前にあった。次が最後の言葉になるだろうと思ったとき
「えーとえーと、ん?お前の部屋よく見ると変だべな?」
「はぁ?何が変なんだ?」
「なんというか、集めているものの系統がバラバラすぎるというか…お前多趣味だべ?」
「いいや、これはクラスの奴らが好きなもので俺の趣味はないぞ」
ぼびぃが言った通りこの部屋にはいろんなものがおいてある。古い世代のCD、少女漫画、今季のプリキュアのフィギュアなどいろいろ…。
しかし、それらは全て俺のものではない。俺がクラスメイトとの親交を深めるために集めたものだ。
「お前自身が好きなものや面白いと思うものはないのかべ?」
「ないな、テレビや漫画を見ても特に面白いとは思わんし、運動も勉強もそれほど好きではない」
そもそも自分の好きなものを知る時間がないしな…
無駄話はやめてさっさと捨ててしまおうとしたがぼびぃはうーんうーんと悩む素振りを始めると突然「ひらめいた!!」と大声で言った。
「お前の好きなもの面白いもの楽しいと思うこと、ボクがみつけてあげるっべ!」
「なんでお前にそんなことされなきゃないんだ?そんなの俺には不要だ」
「でもぉ〜自身が楽しめる感性も完璧人間には必要なんじゃないんべ?」
「それは、」
「はっきりいうべ!!いくら顔がよくてお金持ちで頭も運動神経も良くても楽しむことを知らない人なんて完璧なわけないべ!!」
俺が完璧じゃないだと?
「…………はは、」
「うおっ!!?こわ!!怒った?怒ったのかべ?」
こんなマスコットごときに完璧じゃないと言われるだと……、くくく、良いだろう。
「俺は来年大学に行く、それにまでの間お前のマスコット試験とやらを手伝ってやろう、しかし!その期間、お前に俺は完璧人間だと認めされてやる!!」
「お、お〜だべ。やっぱこいつ変な方向に拗ねらしてんるんだべ」
「認めた暁にはお前どうなるかわかってんだろうな?」
「じょ、上等だべ!変わりにお前試験まで全力でボクのことサポートしろだべ!」
そんなこんなでよくわからない契約のもと、俺はこいつと今年一年共同生活をすることとなった。これが俺の完璧だった高校生活の破滅の第一歩だとは知らずに。
「それじゃぁまぁ、」
「これからよろしく」「よろしくだっべ」
ぼびぃと長谷川 ゆーさん、 @yuzunarumi
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