第3話ぼびぃのきた理由
「待って!待ってだっべ!!」
「あーでも燃えたあとの匂いとかやばいかなー、コンロじゃ時間かかりそうだし」
「はなしを!!話を聞いてほしいべ!!」
「ハサミで切るか、いやこっちのほうが時間かかるしもうゴミ袋にいれて…」
「だから話を聞けだべーー!!!!!」
バシンっっ!!
「いった!!?殴るのは反則だろ!警察呼ぶぞ!!」
「あぁん?呼んでみろだべ!!まとめてタコ殴りに…ってこんなことしてる場合じゃないべ!!」
よくわからんぬいぐるみは殴ってきたかと思えばいきなりキレだし、かと思えば突然焦りだした。一体何がしたいんだこいつは?
「お前は一体なんなんだ?」
「えっほん、ボクはぼびぃ!お前のお手伝いマスコットだっべ!」
「お手伝いマスコット?」
ぬるいぐるみ(ぼびぃ)はどっから出したかわからないボードを持って説明を始めた。
「お前ドラえ●ん知ってるべ?」
「知ってる、国民的アニメだろ?」
「ボクはドラえ●ん先輩のように出来損ないのガキにマシな生活を送らせるのが仕事なんだべ!」
「思ったんだがお前けっこう口悪いな」
「ワールドサポートマスコットカンパニー、通称ワサコに所属してるべ」
「カンパニーどこいったカンパニー」
出来損ないを手助けするマスコットか、にわかに信じがたいがまぁいい。しかし、こいつには悪いが帰ってもらおう。
「来たところ悪いがここにお前の仕事はない、なぜなら俺は完璧人間だからな」
そう俺には欠点がないのだ。出来損ないなどもってのほか、誰かに助けてもらうことなどいっ〜さいないのだ。
「その自身満々な性格はどうかと思うべが…」
「なんか言ったかたこ」
「そ、そんなことは知ってるっべ!お前にはボクを助けて欲しくてここに来たんだべ!」
「ボクを助けて欲しくて…?」
「これ見てほしいべ」
そう言ってたこ(ぼびぃ)が見せてきたのは多くの紙切れだった。中身は全部お助けマスコット試験不合格と書かれていた。
「さっき会社に所属してると言ったけどそれは仮でまだ正社員じゃないんだべ」
「この試験に受かれば晴れて正社員、でも見ての通り落ち続けて早9年。同世代は引くを通り越してサイコパス扱いする始末…」
「今年落ちたらもう二桁、それだけは回避したいんだべ!!そのために君の力を貸してほしいべ!長谷川木豊くん!!」
「そうか、理由はわかった…」
これは、もしかしたら俺の何不自由ない生活に刺激を与えるための神様のちょっとしたいたずらなのかもな。こいつに頼まれるよりも前に、もう俺の中で答えは決まっていた。
「いや、ちょっと無理です」
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