エピローグ

俺は親父と共に地上へと降りる。


「さて、全員この上に乗ってくれ」


親父は地上へつくと、地面に大きな円環を展開する。確か、親父のアーティファクト……『天輪』だったか?


母さんと『呪術師』を除く勇者パーティの全員が円の中へと移動した。


「……お前は帰らないのか?」

「……うん。こっちの世界の方が、いろいろと面白そうだからね」


そういうと、メガネをかけた少女……『呪術師』は、ニヤリと呪術師らしい笑みを浮かべる。


コイツとは長い付き合いになるんだろうな……


俺は直感でそう確信した。


「さて、始めようか」


そういうと親父は大きく手を広げる。


「運命の愛……比翼の連理……忠義の献身」


円環が光り輝き、やがて天まで届く光の柱が立ち昇る。


「……愛の契約……天使。交わらぬ道は一つとなり、進む。全てが消えるその日まで」


親父は一旦そこで詠唱を止める。


「元気でやれよ」

「ああ。姉貴たちによろしく」

「なかなか難しいことをいうな」


姉貴たちはブラコンなので、俺を連れて帰らなかった親父には非難の嵐が降り注ぐだろう。

俺は心の中で合掌した。


「あなたなら、最強になれる。だってあなたは……私と若くんの、自慢の息子だから」


母さんはそういうと、満面の笑みを浮かべる。それは息子の成長を喜ぶ母のえみだった。

親父は頷くと、詠唱を再開する。


「ここに我らの世界を」


光の柱が一際強くなり、そして部屋の電気を消したようにふっと消える。

そこに最初から誰もいなかったかのように、親父たちは姿を消した。


「……別れ……か」


俺はしばしその余韻に浸ったあと、後ろを振り向く。


そこには、空気を読んで黙っていたらしき仲間たちが立っていた。


サン、リア、アラタ、アリステル。俺の頼もしい仲間たち。

アイリス。俺の恩人であり、師匠であり……そして大切な相棒。

そして……アヤカ。俺の愛しい人。


別れはあれど、出会いもある。


「……さて、これからどうしようか」


そう呟くと、綾華が右腕に抱きついてくる。驚く俺に、綾華は微笑む。


「シュンなら、どこへでも行けるよ」


と、対抗するように左腕にアイリスが抱きついてくる。


「私もついてます」

「……ああ。そうだな」


俺は空を見上げる。

どこまでも青い、雲ひとつない、澄み切った空が広がっている。


多分これからも、俺の人生には雨が降る。それでも……仲間が、愛しい人がいれば、いつだってその先に待つのは青空だ。


俺はそっと2人を抱き寄せた。


Fin

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最強美少女と共に、異世界を駆ける! 狂咲 世界 @nedu1412

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