君と出合ったあの空でまた

@yuriarare

第1話 君との思い出

「南(みなみ)、俺言わなきゃいけないことがあるんだ。俺来年転校することになったんだ」

えっ。それは突然の出来事だった。もうあと少しで空(そら)と離れ離れになってしまう。その現実が私の前に突き出された。でも私は空の前では「じゃあ2人で最後の思い出たくさん作ろうよ」と強がってみせた。

「屋上行こうぜ!」

うん!!

2人は寝転び、空を見上げた。いつもと同じ何の変哲もない空なのに私の目には輝いて写った。

「この空きれいだな~」

私の横で空が呟いているのが聞こえた。私は心のなかで笑みを浮かべながら「きれいだね」とだけ返しておいた。

この前まで雪が降っていたのにもう桜が咲き始める季節になっていた。

「南、またいつか2人でまたあの屋上に行こうぜ!」

私は最後まで強がっていつものように「いつかねー」と流した。そっかもう空とは会えなくなるんだ。わかっていたはずなのに。心にっぽっかり穴が空いたみたいだった。


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