【恋愛小説】ピザのピーマン

◯行雲◯

デリバリーは待たない

【ピンポーン】

チャイムが鳴る。


誰が来たかわかる。

先ほど1番大きいピザを注文した。


ドアの向こうにデリバリーさんが

いるのはわかってる。


ドアの内側で、何があったかなんて

デリバリーさんにはわからない。


電話注文時、

上機嫌な私がいた。


「今から、そっちいく」


の一つで、


部屋を片付け、

窓を開け、

ピザを注文し、

着替えたんだから。


でもデリバリーが届く30分の間に


上機嫌の鼻歌と

空気を入れ替えたはずの部屋が止まった。


チャイムの音で我に返り、

ドアを開けたら、笑顔のお兄さんが

大きなピザを差し出す。


どうもー!こんにちは!

今日、サービスデーで

炭酸ジュースも2本付いてます!!


眩しいお兄さん。

その対岸で曇天生む私の表情を

察することなく


「 3980円です!」


救われる。よくわからないけど

ありがと。


( 釣りはいらない。)

言いたいとこだけど、20円のお釣を

しっかりもらった。


テーブル半分以上を占めるピザ。

今日はおまけまで付いたラッキーデー。


存在感消せないサイズのピザに

緑のピーマンを見る。


無意識に箸を持ち、

1つずつ取り除く午後。


取り終えて、何してんだあたし。

ピーマン好きなのに。


緑がキライ奴はもう来ない。

あたしのバーカ、、。






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【恋愛小説】ピザのピーマン ◯行雲◯ @suemama

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