第10話 モチーフ・イズ・パワー



学園モノを書きたい。

ギャンブルものが書きたい。

三角関係もの

時代劇

タイムリープもの

男女入れ替わり

部活もの!

戦後の闇市

没入型ヴァーチャル・リアリティ

クトゥルフ神話

etc


過去に作られてきた物語から生まれた様々な類型それがモチーフ

モチーフとは物語の類型・アーキタイプである


テーマやコンセプトが無ければストーリーは生まれない。

モチーフそれ自体にはストーリーを作る力はない。

しかし、モチーフは作者のイマジネーションを掻き立ててくれる。


剣を武器に家族の仇である超常の存在と戦う復讐譚くらいのアイデアがあるとする。テーマは家族、コンセプトは主人公が実は二重人格で昼は兄、夜は妹になるTS要素としよう。

この時点では物語には無限の可能性がある。


超常の敵とは吸血鬼だ。吸血鬼退治のモチーフを導入しよう。

十字架、銀、ニンニクetc

いや、超常の敵とはアサシン教団だ、ナチスの残党だ、指定暴力団だetc

舞台は戦国時代だったら?

火縄銃、蘭奢待、桶狭間の戦いetc

20世紀初頭のイギリスだったら?

労働者運動、マルクス主義、近代貴族、メイド、ロールスロイス・シルバーゴーストetc

無限の組み合わせがある。

ニンニク×蘭奢待 共通点は ニオイ…香り? 香道は参考にならないだろうか

兄と妹のニオイはどうなんだろうか? 身体的にも男女で変化してニオイも変わるという設定にすればどこかに活かせないか?

銀×ロールスロイス・シルバーゴースト。純銀製のロールスロイス?

こんな感じで妄想は膨らんでいく。

これがモチーフの力。


モチーフに関してはモチーフの入れ替えというテクニックがある。


例えば「ロミオとジュリエット」を現代のニューヨークの置き換えてみたらという着想で生まれたのが「ウエスト・サイド物語」である。

より直接的に現代化した「ロミオ+ジュリエット」( レオナルド・ディカプリオ主演)という映画もある。


「荒野の七人」は黒澤明監督の「七人の侍」の西部劇版、

アニメ「SAMURAI 7」は未来版だといえる。


見知った話の舞台を幕末の江戸に、現代の日本に、近未来の都市に…変えるという手法は、よくあることだ。

ただ入れ替えてなぞるだけでは意味がない。モチーフを入れ替えることで、変化する部分、そこにエッジを利かせていきたい。


どこまでが「モチーフの入れ替え」といえるかは難しい。

テーマやコンセプトの共通性から判断するしかない。

小説「海底二万マイル」とアニメ「ふしぎの海のナディア」までくるとハッキリいって別物だ。

ただ、それが悪いというわけではない。それで別の物語が生まれるなら問題ない。

モチーフから生まれるアイデアの相互作用を楽しめばいい。




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創作論書いている暇があるなら小説を書けと叫べ 影咲シオリ @shiwori_world_end

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