嫁を好きだった君とあの子と結婚した君
「ふわぁあ。」
俺は大きなあくびをして公園近くを歩いていた。
「お父さん!早く早く!」
「あんまり急ぐと転ぶぞー。」
大学卒業後、3年たって俺と明莉は結婚、翌年には可愛い女の子が生まれた。
この子が生まれてから5年、俺も30歳か。
年をとったもんだ。
と少し目を離した瞬間…
「わぁ!」
「ほむら!」
娘のほむらが転びかけた。
「おっと、」
そこへたまたま歩いていた同世代くらいの男性がほむらを支えてくれた。
ほむらはこけずにすんだ。
「ありがとうございます!」
「おじちゃん、ありがとう!」
「いやいや、けがはなかったかい?」
「うん!」
「…あれ?」
どこかで見たことあるような顔立ち。
どこだっただろうか。
「…僕の顔に何かついていますか?」
「どこかでお会いしたことありませんかね?」
「…もしかして明莉さんの?」
あ!思い出した!
大学の時、明莉をよく見ていた子だ!
「パパ、知ってる人?」
「んー、なんていうかなぁ…」
「おじちゃんはね、君のパパとママの幸せが大好きな人だよ。」
そう言って彼は前かがみになって言った。
その時見えた左手の薬指には指輪が入っていた。
「パパとママの?おじちゃんすごくいい人なんだね!ほむらもパパとママが幸せなのすごくうれしい!」
「そっか、そっか。パパとママをあまり心配させちゃいけないよ。」
「うん!」
「じゃあ、僕はこれで。」
「ありがとう、いろいろと。」
彼はほむらに手を振って歩き出した。
数歩歩いたところで振り向き、
「あ、言うのが遅くなってしまったね。結婚おめでとう。」
彼はその言葉だけ残して去っていった。
大学生の頃よりすごく大人びていて雰囲気も変わったような気がする。
「パパ、おじちゃん、優しい人だった!」
「ん?そうだね。すごく優しい人だったね。」
「ほむらもいい人なる!」
「なれるさ、ほむらなら。」
そして僕たちは手を取り歩き出した。
この子は将来どんな答えをだすのだろうか。
この子が好きな君とあの子といる君 空海月 ヤネン@異世界転生もの執筆中 @yaneyane
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