僕の答え
ジリリリリリリリ⏰
バンッ!
「…朝か。」
午前7時、今日は大学の卒業式。
あれから2年たった。
あの日、明莉さんたちが付き合ったという話は夏休み明けに大学内で大きな話題となり僕の耳に入ってくるのもすごく早かった。
まぁ、そうなるだろうと分かっていたのでショックは大きくなかった。
悠星はすごく心配してくれていたが
。
でも本当になんともなかった。
個人的にはあの恋で自分を変えるきっかけになったからいい経験になったと感じる。
ピンポーン!
準備をしていたらチャイムが鳴った。
まぁ、だれかはなんとなくわかるけど。
「空いてるから入ってー。」
ガチャ
「やぁ、色男の悠星君。元気そうでよかったよ。」
「久々に会って一言目でそれか。君も随分と変わったね。」
卒業前の春休み、悠星は実家に帰ったり旅行に行ったりとしてたからずっと会えていなかった。
会うのは1ヶ月ぶりかもしれない。
「はい、これ。」
「…なにこれ?」
「ハンガリーのお土産さ。」
「ハンガリー!?」
なんていつも通りの僕たち。
2年たっても僕たちは変わっていなかった。
でもこれからは変わっていく。
僕はここ徳島、地元に残る。
けれど悠星は大阪で就職をした。
「寂しくなるよ…」
「なに、いつでも会えるさ。」
僕は準備する手が少し遅くなった。
***
「いやぁ、相変わらずいい飲みっぷりだったね。」
「悠星だっていつも以上にいい飲みっぷりだったよ。」
卒業式後、飲み会に参加した僕たち。
二次会も終わり帰路についていた。
「それで次に進むのかい?」
次に進む。
これはきっと恋愛のことを言っているのだろう。
「そうだね。僕なりに頑張ってみるよ。」
「この前の告白してきた子はどうなんだい?」
そう、あれは少し前の話。
大学の同級生の女の子が告白してきた。
そのとき僕はまだ彼女のこと全く知らなかったから連絡先だけ交換した。
「まぁ、明日連絡してみるよ。」
「本当に君は変わったよ。僕がいなくても大丈夫かい?」
「きっと大丈夫さ。悠星にたくさんの事教わったから。」
「そうかい。僕も安心して大阪へ行けるよ。」
僕も悠星もばらばらの道を進む。
明莉さんに恋して、明莉さんが別の人と付き合って。
でも僕自身が変わるきっかけになった。
この恋した時間は無駄にならないと思う。
「じゃあ、ここでさよならだ。」
「悠星、本当にありがとう。君がいたから僕は変われたし大学が楽しかったよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいな。僕も君といた時間すごく楽しかったよ。」
「またご飯とか行こうね。」
「うん、行こう。その時はまたたくさん話そう。」
「うん…じゃあ、元気でね。」
「君こそ、風邪ひくなよ。」
そして僕たちは別々の道に入った。
明莉さんに恋して、悠星にアドバイスしてもらって。
叶わなかったけど好きな人が好きな人と結ばれて。
それだけでも十分幸せと思えた。
そっか、明莉さんが幸せなら僕も幸せに感じれるんだ。
この思いは心の奥底にしまっておこう。
ありがとう。
これから僕は新しい道を進んでいくよ。
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