俺の答え

「起きろー。起きーろー!」

「うぇぷ!」


最悪な朝だ。

朝からおなかに大きな衝撃が。

目を開けるとそこには明莉がいた。


「おはよう、朝から元気だね。」

「寝坊助さんやなぁ、ほら今日は卒業式やで!」


あれから2年たって俺たちは大学四年になって就職も決まった。

そして今日は大学の卒業式。


あの阿波踊りの日、俺たちは両想いということが分かり次の日から付き合うことになった。

といってもこれといって大きな変わりはなかった。

いつも通り一緒にゲームしてご飯食べて…

強いて言うならお互いの両親に会って四年になってからの今日まで一緒に同棲をしていたことだろうか。

え?大きいって?それは置いといて…

まぁ、卒業してもお互い一緒に過ごすことになりそうなのだが…

その理由が


「いやぁ、春休み終われば社会人かぁ。なんか変な感じやな!」

「まさか徳島で就職するなんて…」


そう、明莉は実家に帰らず徳島で就職した。

しかも両想いと分かった日に阿波踊りにはまり阿波踊り関係の仕事に就いた。

俺は徳島で有名な会社の営業として就職が決まった。

だから俺も明莉も徳島で働くのでたぶんいつもと変わらないだろう。


「ほら!早く準備して!うちはほとんど終わったからね!」

「うーす。」


最近…というか前からのような気もするが尻に敷かれているような気がする。


***


卒業式も飲み会も終わり俺たちは家に帰ってきた。

明莉は終始に誰かに声をかけられていた。

さすが俺の彼女。可愛い。


「いやぁ、飲みすぎたなぁ…君も今日はえらいテンション高かったやん。」

「俺だってテンション高い日くらいあるよー、それに卒業だぜ?騒ぐだろー。」

「よっしゃー、ほなうちららしくあれやるか―!」

「えー、酔ってるし明日でもいいじゃん。」

「やるの!酔ってても楽しいんだから!」


そう言って明莉はテレビの電源を付けゲーム機を起動させた。

ほんといつも変わらないな。

俺の隣にいてくれて、そんでもってゲームばっかりして。

ぎゃんぎゃんうるさい時もあるけれど…


「何ぼーってしてんの?ほらやるよ?」

「はいはい、今日は何するんすかね。」

「君にはじめて教えてもらったゲーム。」


思えば約三年前あのペンと消しゴムとうんまい棒から始まった俺たちの関係。

始まりこそ少し変だったかもしれないが今となってはそんな毎日で。

あ、そうか。

俺が知りたかった人を好きになるってのはこういう事なのかもしれない。

いつもそばにいてくれて何気ない会話をする。

だけどそこにはいつも暖かい人がいて。


「明莉、好きだよ。」

「なに?急に?まぁ、うちも好きやけど。」


きっとこれが俺の答えだ。

これからも明莉と過ごしていくそんな毎日。

ありがとう。

きっと毎日が飽きない日になるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る