レッツ&ゴー

船越麻央

俺は最強最速

 少し長く眠りすぎたようだ。


 俺は目を覚ました。


 軽くウオーミングアップをする。


 何も問題ない。今日も調子は良いようだ。


 そして俺はコースに向かう。


 コースは3レーンのタイプだ。


 コースフェンスの高さは5㎝、幅は11.5㎝。


 ストレートあり、カーブあり、立体レーンチェンジや、バンクコーナーもある。


 俺たちの動力源は単3型乾電池2本だ。


 俺は今ハイパーダッシュモーターを搭載している。


 3.5:1の超速ギヤを装備。


 そして俺は様々な改造を施されている。


 自分で言うのもなんだが俺は最強最速である。


 パワー、スピード、キレ、どれをとっても一級品なのだ。


 ただ、ただ俺にはローラーが6個しかない。


 ルールが改正されて、ローラー数は無制限となったのだが。


 しかしそれで十分だ。


 俺は気合を入れてスタート位置からスタートした。


「イヤッホー!」ゴキゲンだぜ!


 ん? 隣のコースで走ってるヤツがいる。


 俺よりはるかに速い。


 あっという間に俺を抜き去る。


 ふん、馬鹿め。あのスピードでは無理だな。

 

 案の定カーブを曲がり切れずコースアウトした。


 おまけに何かパーツが吹っ飛んだようだ。


 あわてて回収されピットに戻されて行った。気の毒に重症らしい。


 速けりゃいいってもんじゃないんだよ。


 コースアウトしては元も子もない。


 俺は悠々コースを3周した。


 その間、何台かコースアウトするヤツがいた。


 何度も言うがとにかく完走しなけりゃ意味がない。


 速いモーターを搭載し、ゴテゴテとパーツを装着するヤツが多すぎる。


 確かにシャーシもパーツも日々進化してはいる。


 それは俺も認める。


 中には素晴らしい走りを見せるヤツもいる。だがまれだね。


 何のために走るのかって?


 ここだけの話だが俺の最終目的は公式レースに出場することだ。


 まあいつになるか分からんがね。


 それまではこのフリー走行のコースで鍛えるつもりだ。


 なに? 俺の名か?


 ハハハ、ご想像におまかせするよ。


 さて、もう一丁走って来るぜ!


 了


 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

レッツ&ゴー 船越麻央 @funakoshimao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ