金糸雀のスカーフを貴女に
地崎守 晶
金糸雀のスカーフを貴女に
「ふふ、かわいいわね」
貴女に微笑みかけられてご満悦の
勇気を出して二人きりで動物園に来たのに、貴女の白い首筋に浮かぶ鬱血痕が嫌でも目に入る。
わたくしのことなんて貴女の目には映らないの?
その痕を付けたのは誰?
晴れ晴れとして軽やかな
繕った笑顔の裏で悶々としていると、せっかくの合瀬はもう夕暮れで。後は土産物屋を残すばかり。
ふと、嫌いになった色が目に入る。
「お姉様、我が儘言ってよろしくて?」
買い求めた品を、物陰で貴女の首に巻く。
憎い金糸雀の色のスカーフ。ふわりと甘い香りにくらりとなる。
貴女の身に付けていない色を。赤い痕を覆い隠すように。
「有難う。綺麗な黄色。似合うかしら」
「ええ、お似合いですわ、お姉様」
主張する。叩き付ける。
わたくしのものだと。
金糸雀のスカーフを貴女に 地崎守 晶 @kararu11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます