エピローグ 「キリンは泣かない」

シズは寝たよー。 舞衣のぶんもハートランド持ってこようか?」

「飲んで良いわけないでしょ。 あー、女ばっかり飲めないのって不公平だよね」


「俺ばっかりごめんねー。でも、目の前で飲んじゃう。許してw」

「いいのいいの。目の前に居てくれるだけで幸せだから、メソッドでしょ?」


「そう、ライオンと野良猫のメソッドw ずっと目の前に居れば、お互いに幸せだよ」

「よく言うー。 またいつか居なくなるんじゃないか、って安心出来ないのよね」


「舞衣だって『オラ地獄さ行くべぇ』ってDV野郎のところに行くんじゃないかと」

「何よソレ? ドラゴンボール?」


「『蟹光線』だよ。イブセマスジ。知らない? チョキチョキビームっ」

「ドコ摘まんでんのよ! それより、作品名も作者も書き出しも、全部違うわよ!」


「あれ? そーだっけ?」

「井伏鱒二は『山椒魚』が有名ね。あ、でもあの話、なんかわたしに被るわぁ」


「へー」

「山椒魚がエゴで蛙を監禁するの、死ぬまで。わたしもそうだったかも知れない」


「違う。あれは作者が最後を削除したんだ。何十年も経って、『だって、あれじゃ出られないもの』って」

「……」


「だから蛙は死なない。 大丈夫、何度でも俺が舞衣を助けに行く」

「……」


「どうしたの?なんk──」

「優一ってアホなのか、それともアホの振りしてるのか、本当に分かんないときある」


「ミステリアスってこと?」

「あー、もうメソッドはおしまい。わたしもシズと寝る」


「えーー寂しいー。 ……おやすみなさい」

「おやすみー 明日もガンバロー」


 捨てられなかった「前撮り」のウェディング写真を見る。

 俺と舞衣は二人で笑顔だった。



──────────

これにて完結です。ありがとうございました。


優一……You あなた

舞衣……My 自己中なヒロイン

須藤……Should 「~べき」でモラハラる奴

静 ……SIDS 性別不祥

という名前の由来でした。 ではまた。

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全力失踪 ~ライオンと野良猫のメソッド~ @kurotorikurotori

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