あねもね山

@Kyomini

第1話 あねもね山

・・・・ 前書き・・・

アルメニアと言う小さな国。

旧ソビエトやトルコなどに隣接し昔から侵略や内戦などの戦禍が絶えませんでした。

アネモネはその小さな国の「国花」です。


あねもね山のまわりには、黄はち国、赤はち国、青はち国と言う三つの国がありました。

あねもね山には一年中アネモネの花がたくさん咲いていて、その甘いみつの匂いが三つの国に流れていました。


 あねもね山にすんでいるくまのキンコンは、はちみつお茶が大好きでした。

こころ優しい黄はち国とはとても仲好しです。

中でも一番の友達は「きはちむ君」です。

「キンコン、蜘蛛の巣をはらってくれてどうもありがとう。ずいぶん通りやすくなったよ。」

「僕もおいしいはちみつお茶をごちそうしてくれてありがとう。やっぱりアネモネの花のはちみつお茶が一番だよ!」


キンコンときはちむは黄はち国で作っているアネモネの花のはちみつで、おいしいお茶を飲みながら、

「ここはとってもいいところだね。みんな親切で優しくて、そして働き者ばかりだね。」

「そう、賢くて、みんなのお母さんみたいな女王様がいるからね。だから僕も黄はち国が大好き」

と、お話をしていました。


 春のやさしい風の中でのんびりとおやつの時間をすごしていると、突然何かがたくさん飛んできました。

「わーーなんだこれは?」

キンコンはびっくりして大きな声でさけびました。

「キンコン、これは針ばくだんだよ、あぶないんだよ、逃げよう!」

と、きはちむが言いました。ふたりは急いでにげだしました。


「いったいどこから飛んでくるのだろう?」

きんこんはよく見えるように高い木にのぼってあたりをみわたしました。

 それはとてもひどい光景でした。

 あちこちを飛んでいたきはちむがキンコンのところにやってきて言いました。

「赤はち国も青はち国もなまけもので、うそつきばかりで、けんかばかりしているうちに、とうとう戦争になってしまったらしい。」

 すると黄はち国 のはちたちがやってきて言いました。

「ぼくたちがみつを運んでいるところに針ばくだんが飛んできて、なかまもたくさん怪我をしました。」


 いつもはとっても優しいキンコンですが、いかりがこみあげてきました。

「こんなのだめだよ、ぜったいいけないよ。」

「きんこん、どうすればいいのかなぁ?何かいい方法はないのかなぁ?」

きはちむは一生懸命考えて居ます。

「うーん、そうだね、うんとかんがえてみよう、一番いい方法を考えなくちゃ」

キンコンは、うーん、うーんとうなりながら長い間考えて居ました。

「そうだ!こうすればどうかな?」

きんこんは思いついた方法をきはちむに言いました。

「うん、それはいいね!」


 黄はち国のはちたちはいっぱい怪我をして運ばれてきていました。

長老達も困ったことだと考え込んでいます。

優しい女王様も顔をくもらせています。

そこへきはちむがやってきて、キンコンの提案を女王様のお耳にいれました。

「ありがとう、わが国はもちろん、赤はち国や青はち国のはちたちも死んだりしてはいけません。みんな仲良く暮らしていかなくてはならないのです。キンコンさんの言うとおりにしてみましょう。」


 さっそく女王様の命令で、黄はち国のはちたちは自分達が集めたはちみつを持ってどんどん集まってきました。 動けるはちたちはみんな協力してやってきました。

 あっという間にたくさんのはちみつが集まりました。

 それらを全部キンコンのところに持って行きました。


 「大きなつぼに二杯もあるよ、キンコン重そうだね。」 ときはちむが言いました。

「うん、すごいね、これぐらいでいいだろうね。重いけど大きな僕は平気だよ。」


「じゃあ僕は計画通りにいってくるからね。みんな待っていてね。」

「あーぼくも行く、お手伝いするよ、女王様、僕もキンコンといっしょに行ってきます。」

 きはちむはそう言うと重そうな荷台を押そうとしました・・・・・

 でも・・それは無理ですよね。二人はあねもね山のてっぺんに登っていきました・・・・そして・・・・


 一つのツボの中のはちみつを全部、赤はち国のはちたちの上にどばーーーーーっと。


 もうひとつのツボの中のはちみつをどばーーーっと青はち国のはちたちの上に!


 「なんだ?これ?」「なんだ?これ?」

 赤はち国のはちたちも青はち国のはちたちも、突然、頭の上からどろどろっとしたものが落ちてきたのでびっくりぎょうてん。

からだがべとべとどろどろで動けません。そのうちはちたちの口の中にもどろどろっとしたものがはいってきました。

 ところが・・・「あらら?これ。甘くておいしいぞ!」「うまいぞ、うまいぞ!これなんだ?」

「これははちみつだ!こんなに美味しかったって知らなかった。どうやって作るんだろう?」

 はちたちは戦争をやめて、いっぱいはちみつをなめ始めました。


 「この」はちみつは全部黄はち国のはちたちが、こうやって作ったものなんだよ。

ほらみんなせっせせっせとおいしいはちみつをつくっているでしょ。

きみたちもミツバチなんだからちゃんといはちみつがつくれるんだよ。 馬鹿な戦争なんかやめて、一緒においしいはちみつをつくろうよ。

 ほら、あねもね山にはいっぱいアネモネの花があるじゃないか。」

とキンコンが言いました。


赤はちたちも青はちたちも、じぶんたちはなんて馬鹿なことをしていたのだろうと、やっと気がつきました。なかなおり、なかなおり!


そしてもうせんそうなんか絶対しないでおこうねと、赤はち国と青はち国は約束しました。みんな仲良し、いいことですよね。


それからは黄はち国のはちたちといっしょにあねもね山で甘いみつを集め、とっても美味しいはちみつを作るようになりました。

 飛び交うはちたちと、アネモネの花と、キンコン。

あねもね山に平和が訪れました。 

                           おしまい。

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