ジェラート店 🍧

上月くるを

ジェラート店 🍧



新緑の水に撒かれて散らばれり

馬鈴薯の花やジェラート店の旗


みどりさす空港ゆきのバスの窓

枝折戸に薔薇を咲かせて蔵の街


夏衣やきつちり傘を畳むひと

青芝や雨季と乾季のなき国で


水曜日午後二時半の天道虫

どことなく剽軽小僧山椒魚


源流の岩魚に神の宿りたる

解禁の鮎漁のぞく橋のうへ


夏つばめ飛び交ふ野外コンサート

まばたきの一瞬の永久あをばづく


殻堅く御身の柔しかたつむり

優曇華や笑ひの種を籠に摘み


胸の内試されてゐる金魚草

戦国の隠し湯いくつ山滴る


小満や切手シートの平安宮

神主の所作の整ふ清和かな


たけのこを大鍋に茹で露店まち

ビニールに夜店の金魚泳がせて




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