わからない

上からの指示を聞いてから、数日が経った。

そう、まだ数日だ。


なのに、なんで。


「なぜ、奏が知っているのかしら?」


そこまで、強いものがいる気配もないのに、山口がいることには違和感を持った。

でも、何かで駆り出されたとしか思わなかった。

その、何かが自分だとは思わなかった。


「そら。肯定ってとっていいんか?」


最悪。落ち着け。返答を間違えるな。当日まで私は常に監視されているはず。

これ以上、状況悪化させれない。


「それが事実だとして、なんですか?

それにこちらを嗅いでいるようですが。ついに、話し合いなんて生ぬるいことはやめたのかしら?」


「そやない。俺たちは、この能力で守るんや」


「口だけはなんとでも言えるわよ。実際、どこかしらか情報を得たみたいですしね」


「はー。俺は祓と話に来たんやないねん。昂として、誠也の親友として天音に話しにきてん。それで捧げるのか?」


「ええ。上がそう言っているもの」


「・・・。ほんで、ええんかよ?」


「良いも、悪いもないわよ」


「なぁ。言うとくけど、俺はお前と戦いたくないんや。約束は守る」


「・・・」


「お前の力なら生贄無しでもどうにかなるんやないか?

生贄だなんて、だれも幸せにならへん! 不幸にするだけや!」


それぐらい、知っている。

知っているから、苦しいんじゃん。


「・・・」


「なあ・・。なんか言うてや」


「・・・。上の意向は変わらない」


ここにいたら、口から出そうで、後ろを向いて歩き出す。


「ほんで。ほんで、天音はええのかよ!」


それからも、何か言ってる気がしたけど、歩き続けてた。

もしかしたら、これが最後のチャンスなのかもと思いながら。

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こんなの払えないよ・・(泣) にゃん @habataku

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