命令

雨に降られながら帰ってきた。

そして、包丁が目の前にある。


「どうしましたか? 母上」


「忠告はしたわ。上からの通達よ。修学旅行の時に、東北で儀式を行うわ」


「・・・。一人でですか?」


「いいえ。修学旅行の3日目の夜よ。あなたは、その時うまく位置まで、誘導し、決行することよ」


「・・・。混乱がすごいことになりますよ?」


「何、上に逆らうつもり? それとも、あの人と同じことを言うのかしら?」


「そんな、まさか」


「そ。なら、いいわ。もし、逃げ出そうや、対抗しそうになったらあなたごとよ」


「承知しました」


「・・。なら、いいわ」


包丁を下ろしてくれた。


「では、準備をするので」


「儀式の準備は組織でやるのよ。何をするき」


「儀式までに憑かれたら意味がないですか」


「・・・」


「何か問題でも?」


「・・・。ないわ」


仕事部屋に入って、鍵を閉める。


「ヒュー」


遅れて酷い緊張が全身に乗り掛かる。

誠也を私が殺す?


いや、しょうがない。そうだ。

私に決定権はないんだ。


(私は姫の命に従います)


(拙者も)


「・・。ありがとう」


「すー」


昨日の作業をしよう。

今は何も考えたくない。

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